2010 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼が海馬歯状回のニッシェに与える影響とそのメカニズムについて
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21390548
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三留 雅人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50261318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 直人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90302885)
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Keywords | 歯学 / 神経幹細胞 / 海馬 / 歯状回 / 咀嚼 / 脳・神経 |
Research Abstract |
近年,複数の性質の異なる細胞に分化する能力を持つ神経幹細胞が海馬歯状回に存在することが判明し,記憶,学習および空間の認識などに重要な役割を果たしていると考えられている。最近,歯の喪失がアルツハイマー型認知症の誘発因子の一つとして指摘され,咀嚼が十分に行われないと中枢神経機能に影響し,海馬神経幹細胞の生存数が低下することが示唆されている口腔の感覚情報が中枢神経系を通して海馬の歯状回(DG)に入力する経路が存在するか調べるために,マウスの片側の臼歯を抜去し,海馬歯状回で分裂する神経幹細胞に左右差があるか調べた。結果は以下のとおりである。1)マウスの右側上下顎臼歯部を抜歯すると,DGにおいて左側に比べて右側の方が,分裂細胞のマーカーである5-boromo-deoxyuridine (BrdU)陽性細胞の生存数が増加した。また,神経幹細胞の増殖に抑制的に働くといわれるn-NOS陽性細胞数は右側に比べて左側で増加していた。細胞活性の指標となるc-Fos陽性細胞数は,左右差は認められなかった。2)片側抜歯群では,非抜歯(コントロール)群に比べてDGの左右側合計のBrdU陽性細胞数が増加していた。n-NOS陽性細胞数には変動がなかったが,c-Fos陽性細胞数は片側抜歯群で有意に増加していた。3)培養神経幹細胞を右側上下顎臼歯部抜歯マウスの両側DGに移植すると,コントロール群では,移植細胞はほとんど生着しなかったが,抜歯群では左右共に移植細胞の生着がみられた。また,移植細胞の分裂数およびニューロンへの分化率は右側で増加していた。 以上のことから,片側抜歯により,咀嚼に関する情報が口腔から神経線維を介して中枢で交叉後,海馬へ入力しDGにおける神経発生に影響を与えている可能性が示唆された。
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