2010 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼・嚥下機能の発達と障害の機序解明と制御する神経回路の可視化に向けた統合的研究
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21390549
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40230750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 義之 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (50175329)
富永 淳也 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30565362)
田中 基大 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90420629)
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Keywords | 咀嚼機能 / 顎運動 / 筋電図 / 嚥下機能 / ノックアウトマウス / 咀嚼中枢 / 顎口腔機能 |
Research Abstract |
C3Hマウスを用い、離乳が開始する2週齢以降より4週齢、6週齢、8週齢、10週齢まで固形飼料飼育群と液状飼料飼育群に分け、両群のマウス間で、咀嚼機能の発達の程度を評価した。まず、何週齢まで液状飼料を与えると、咀嚼・嚥下機能の発達が停止あるいは減速するかを観察し、これを臨界期(critical period)とした。その結果、6週齢以降で、下顎運動時における咀嚼系路の安定性、すなわち変動係数が固形飼料飼育群と比較し、液状飼料飼育群で有意に大きかった。また、液状飼料で飼育する実験群に対し、液状飼料飼育終了後に固形飼料に切り替えた場合に、咀嚼・嚥下機能の回復(catch-up)がどの程度なされるか、顎運動の安定性の変化、変動係数の変化などを調べた結果、固形飼料飼育群と比較し、咀嚼系路の変動係数は、わずかに正常値に歩み寄ったが、100%の回復傾向はみられなかった。PRIP遺伝子欠損マウスおよびOtx3遺伝子欠損マウスの顎口腔機能を解析した結果、咀嚼リズムがきわめて、不安定であり、咀嚼中枢異常モデルマウスとして、障害を受けやすい中枢部位の探索に用いうることが示された。 生後特に離乳期以降の数週間は、咀嚼機能の学習にとってきわめて重要な時期であり、機能発育および発達の最適、決定的な時期といわれる臨界期は、6週齢以降に存在することが示唆された。逆に、この時期に噛み応えのある食べ物を与えられなければ、機能獲得のための最適な時期を逃し、後に摂食機能・嚥下機能にも大きな障害を残す原因となることも考えられた。そうした場合に、機能のキャッチアップのため、相当な訓練が必要となるか、あるいはキャッチアップ自体が不可能となることも考え得る。
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Research Products
(3 results)