2011 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼・嚥下機能の発達と障害の機序解明と制御する神経回路の可視化に向けた統合的研究
Project/Area Number |
21390549
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40230750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 義之 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (50175329)
富永 淳也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30565362)
田中 基大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90420629)
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Keywords | 咀嚼中枢 / 咀嚼機能 / 嚥下機能 / ノックアウトマウス / 顎運動 / 筋電図 / 神経機構 |
Research Abstract |
軟食化モデルマウスである、液状飼料飼育マウスの咀嚼時の基本的な顎運動記録、筋活動のパターンは通常の固形飼料で飼育した健常マウスと比較して、下顎運動量について有意差は認められなかったが、咀嚼運動の10ストロークを抽出し、開閉口路を10分割した後、各分割点の座標値の水平成分の標準偏差SDを開口量ODで除算したSD/ODの平均値を咀嚼系路の安定性として評価した場合の咀嚼リズムが有意に不安定であることがわかった。哺乳動物において、咀嚼機能は先天的に備わったものではなく、出生後吸啜から咀嚼へ転換することが知られているが、末梢の形態変化よりも中枢神経系の変化が先行し、脳神経回路の再構成が行われると考えられる。咀嚼中に性状が多様化する固形飼料で飼育した場合、食物の性状の変化を顎・口腔領域の感覚受容器が検知し、咀嚼のパターンを形成する脳幹部の神経細胞集団CPGへのフィードバックを送ることで、適切な咀嚼筋活動の調節が行われるが、液状飼料で飼育した場合には、十分な咀嚼刺激が感覚受容器に与えられず、感覚受容器自体の発達、さらにはCPGの形成にも影響が及び、咀嚼機能の発達が阻害される可能性が考えられた。また、障害を受けた中枢部位は、CPGよりも上位にあることが示唆された。そこで、液状飼料飼育マウスでは、リズムジェネレータ自体の形成異常が生じ、ペースメーカー的な役割を損なった可能性と同時に、リズムジェネレータは正常だが、連絡する神経回路網に異常が生じている可能性が考えられた。
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