2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390550
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
宮沢 裕夫 Matsumoto Dental University, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90147637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩志 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00278178)
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90278177)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助教 (20350829)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Keywords | 歯髄細胞 / 再生医学 / 石灰化機構 / 硬組織再生 |
Research Abstract |
歯髄細胞は、多分化能を有する可能性があり,さらに脱落乳歯や智歯,抜去歯などから採取可能であるため,再生医学において有望な材料である.本研究は,歯髄細胞を用いた再生医療の実現を最終目標とする。そのために平成21年度については次の1.~3.の実験を計画どおり実行した。 1.歯髄細胞本来の形質をほぼ完全に維持しつつ増殖可能な培養条件を確立し,再生実験のための下準備をする.2.1.の培養歯髄細胞についてマイクロアレイ解析を行い,歯髄細胞分化マスター制御因子を探索する.3.様々な生理活性物質を培養歯髄細胞に作用させ,象牙芽細胞マーカー(象牙質シアロリンタンパク,DSPP)発現への影響を調べる.(1)について、単離直後の歯髄は高レベルでDSPPを発現していたが、培養すると消失してしまう。他のマーカーの発現については、申請者が確立した培養法でよく維持された。DSPPが発現していない培養歯髄細胞でも硬組織再生は可能であると考え、(2)の実験に移行した。(2)の実験の結果、歯髄細胞と骨芽細胞の総括的な遺伝子発現パターンは酷似しており、両者における各遺伝子の発現レベルについての相関係数はr=0.95であった。しかし、石灰化に関与する可能性のあるいくつかの遺伝子について際立って発現レベルの異なるものがあり、それらについて、現在機能を解析中である。(3)について、上皮間葉移行を調節するサイトカインを中心に、培養歯髄細胞への作用を解析した。調べたサイトカインの中に、歯髄細胞を脱分化させるものが存在したが、DSPPの発現を亢進させるものは存在しなかった。以上、平成21年度を終了して現在は、歯髄細胞の高石灰化能の責任因子を同定しつつある段階にあり、概ね本研究は順調に進行している。
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