2011 Fiscal Year Annual Research Report
女性生殖器系がんサバイバーのためのテーラーメイドケアの開発と評価
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21390585
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
飯岡 由紀子 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (40275318)
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Keywords | 看護学 / がん看護学 / がんサバイバー / テーラーメイドケア / システマティックレビュー |
Research Abstract |
【当該年度の目標・方法】当該年度の目標は、①システマティックレビューを完了し、②それを踏まえたケアプログラムを構築することであった。①では12名のレビューアーが6つのテーマをCQに応じてレビュー検討した。レビュー評価には、Oxfordエビデンスレベルを採用した。司書の支援を得ながら、検索式を検討した。データベースにはPubMed、CINAHL、医中誌Webを用いた。シソーラス用語、MeSH用語、SHの他にフリータームのキーワードを選定し、検索式を検討した。②ケアプログラムは、レビュー結果と婦人科外来の現状を踏まえ、研究メンバーとの討議により開発する。 【結果】①検索式の検討では、看護に関する文献の抽出が難しく、司書との打ち合わせや会議を繰り返し、キーワードを最大限にするような工夫をはかった。 最終的な検索式にて総数6719件の論文を抽出した。 その後、タイトル、概要、研究デザインなどから採用文献を吟味し、評価に用いる文献リストを作成した。 評価対象となった文献は501件である。文献レビューからは、健康課題の実態や関連要因に関するCQは解決する傾向があったが、効果的なケアに関しては文献数が限られ、エビデンスレベルも低く有益な解決が導きだせなかった。②ケアプログラムは、人的資源・物的資源が限られる外来事情を鑑み、ケアニーズの高い対象者をより適切に抽出するためのスクリーニングチェックシートの開発と、集団学習会のための教育コンテンツの開発とし、開発中である。 【考察・今後の課題】網羅的なレビューを行ったが、女性生殖器系がんサバイバーに対する看護は研究的にも実践的にも十分に発展していないと考慮された。そのため、現在の外来医療の現状に即したケアプログラムを構築することが重要と考えた。今後は、日本の婦人科外来事情に即した効率的で効果的な外来看護を開発し、効果を評価する事が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性生殖器系がんサバイバーを対象に、外来診療時に抱く苦痛に関する実態調査を行った。その結果を基に、女性生殖器系がんサバイバーの6つの健康課題を抽出した。それらは、リンパ浮腫、排泄障害、更年期症状、メンタルヘルス、セクシュアリティ、再発時のケアである。これらの健康課題に関するシステマティックレビューを行った。検索式を司書と共に検討して行ったが、看護に関する文献の抽出に難航した。検索キーワードに関して司書や研究メンバーとの検討を繰り返し、最大限に文献がヒットするような工夫を施した。検索式から抽出された文献数は6719件にも及び、レビューアーを増員して対応した。この検索式の検討とレビュー検討を繰り返し行うことに時間を要したことと、抽出された文献数が増大したことによりレビューアー体制を整えることに時間を要することとなり、やや遅れが出ている。 一方で、文献レビューには丁寧なプロセスが重要であり、重要文献の抜けがないよう十分な配慮をしながら行った。 レビュー結果により、国内外の女性生殖器系がん患者の外来看護の現状を網羅できた。女性生殖器系がんサバイバーに対する看護は、研究的にも実践的にも十分に発展していないことが明らかとなった。この結果によって、ケアプログラムの基盤が構築されたと考える。今後は、日本の婦人科外来事情に即した効率的で効果的なケアプログラムを開発する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、システマティックレビュー結果を基盤として、ケアプログラムを完成させる。ケアプログラムは、産婦人科医師不足や、看護師のパートタイム勤務が多いというような日本の婦人科外来事情を鑑みて構築する。つまり、効率的でしかも効果的でなければならない。そのため、全ての女性生殖器系がんサバイバーにケアを提供するのは困難であり、ケアニーズをアセスメントしながら、ニーズに応じて対応するようなシステムも検討する必要がある。従って、ケアプログラムの提供内容だけでなく、提供方法や提供システムを含めて検討する。このようなケアプログラムを開発するには、臨床状況を熟知した研究メンバーを備える必要があるため、ケアプログラム開発段階より、研究協力施設の看護師やがん看護専門看護師、医師にも参加してもらいながら、実現性を考慮して討議を進めることとする。 また、次年度以降にはケアプログラムの効果を評価するための介入研究を予定している。ケアプログラムの構築と共に、介入研究計画をも含めて慎重に計画を立案する。疫学研究や看護研究の先駆者や統計学者からのサジェスチョンを得ながら計画立案を行う。 システマティックレビューの結果は、雑誌などにまとめて公表できるよう手続きを進める。
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