2011 Fiscal Year Annual Research Report
旧満洲ロシア系ディアスポラ社会の内部構造と対権力関係:境界の流動性とネットワーク
Project/Area Number |
21401028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 美智子 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 教授 (40304068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 克美 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (50304069)
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00411653)
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Keywords | ディアスポラ / ネットワーク / 境界の流動性 / 出身国 / ホスト国 / アイデンティティ / ナショナリズム / 満州 |
Research Abstract |
本研究の目的はロシア系ディアスポラ社会が、日本の傀儡国家「満洲国」体制下で示したダイナミズムを人々が日常世界のなかに構築した様々なネットワークを分析することで解明することにある。 研究実施に関しては、生田と藤原は国立ハバロフスク地方文書館とモスクワのロシア連邦国立文書館ならびにロシア国立図書館で史料の調査・閲覧をおこなった。 研究成果報告としては、生田は満洲のロシア系社会における社会・文化活動、藤原は経済活動、伊賀上は宗教活動、上田は中国社会との関係に注目し、ディアスポラ社会をそれぞれ考察した。生田、藤原、上田、伊賀上は「旧満洲ロシア系ディアスポラ社会の内部構造と対権力関係:境界の流動性とネットワーク」プロジェクト研究会を組織し、その成果を国内では、第21回近現代東北アジア地域史研究会で生田と藤原が報告し、上田は司会を担当した。海外では生田と藤原は、ウラジオストクとハバロフスクのロシア科学アカデミー極東支部で開催された第27回日露極東シンポジウムで報告した。年度末には、総仕上げとして大阪大学21世紀懐徳堂で主催したシンポジウムで、生田が「ハルビンの白系露人事務局」、藤原は「所有と経営からみるチューリン商会」と題して報告し、上田は司会を担当した。またこのシンポジウムの「トークセクション・ハルビンを語る」では、満洲からの引揚者で亡命ロシア研究の世界的権威であるバケチ氏を海外から、日本人ならびにハーフの満洲引揚者を日本各地から招いて、国際対話をおこない、その模様を『セーヴェル』28号に掲載した。 さらに、生田、藤原、上田、伊賀上は、『旧満洲ロシア系ディアスポラ社会の内部構造と対権力関係:境界の流動性とネットワーク』と題した研究成果報告書を出版し、それぞれ3年間の研究成果を発表した。 以上の研究により、旧満洲のロシア系ディアスポラ社会の境界の流動性とネットワークの諸相について多くの論点を明らかにすることができた。
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Research Products
(11 results)