2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト王朝衰退期における交換・交易活動に関する考古学・銘辞学的研究
Project/Area Number |
21401029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川西 宏幸 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (70132800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周藤 芳幸 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70252202)
堀 賀貴 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20294655)
内田 杉彦 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 准教授 (00211772)
辻村 純代 国士舘大学, 付置研究所, 研究員 (60183480)
津本 英利 古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
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Keywords | エジプト / アコリス / 第3中間期 / 手工業生産 / 交易 / レバント / フェニキア / 中間層 |
Research Abstract |
平成21年7~9月にエジプト・アコリス遺跡で実質2ヵ月にわたる現地調査を実施すると同時に、エジプト国内でデルタ方面の第3中間期遺跡を踏査し、在外研究所で資料収集を行った。また、同年12月末から平成22年1月にかけて、川西と辻村が8日間イスラエルに滞在し、テル・アビブ大学留学中の邦人学生の協力を得て、遺跡、博物館、大学考古学研究施設を訪れて、関連資料を検索した。 その結果、アコリス遺跡出土の外来系遺物(とりわけ土器)の産地が、地中海東岸のレバントに求められることを明らかにし、第3中間期のフェニキア人の交易活動によって搬入された可能性が高いことを提示しえた。それとともに、アコリスの第3中間期集落で手工業生産と交易活動に携わった住民は、王朝管理を脱して、英利を求める新しい価値観を共有した中間層であったことも解明されつつある。当時のレバント、キプロス、エーゲ海方面で交易を梃子に拾頭した新住民層と通底するアコリス中間層のこの相貌は、王朝の衰退が混迷を導くという既存の通説に、新しいパラダイムをつきつけることになる。したがって、国際的に問題を投じたこの成果は、残る2ヶ年の研究によってさらに検証を重ねる必要がある。この成果の一部は、平成22年3月20、21日に行ったアコリス調査公開シンポジウムで公表して議論を呼び、同年3月28日に行われた日本西アジア考古学会で発表した。
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Research Products
(4 results)