2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア沿海地方における渤海(698~926年)の考古学的研究
Project/Area Number |
21401031
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
小嶋 芳孝 金沢学院大学, 文学部, 教授 (10410367)
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Keywords | 考古学 / ロシア / 渤海 / ルドナヤ・プリスタニ / テルネイ / アムグー |
Research Abstract |
調査経過6月23日~26日に小嶋がウラジオストクに出かけ、ロシア科学アカデミー極東支部(以下研究所と記す)のY.ニキーチン氏を訪ねて夏季調査の打ち合わせをした。調査対象地域は沿海地方海岸部のルドナヤ・プリスタニからアムグーとし、期間は9月11日~25日となった。9月11日~25日に夏季調査を実施。小嶋は11日に出発し、12日~14日までクラスキノ城跡の調査に参加。15日に、青森県教育委員会の中澤寛将氏が訪ロして小嶋と合流。Y.ニキーチン氏をはじめとするロシア側チーム(4名)と共にダルニエゴルスクに向かう。24日まで海岸部の遺跡を踏査し、25日に小嶋と中澤は帰国。2月9日~14日に、小嶋と研究所のY.ニキーチン氏、イブリエフ氏がサハリン州のユジノサハリンスクを訪問。サハリン州立大学とサハリン郷土博物館が所蔵する土器を調査。3月8日~15日に、研究所のE.ニキーチン氏とテレリュエフ氏を日本に招聘。金沢で調査報告会を開催し、その後、奈良国立文化財研究所が所蔵する渤海関係資料などを調査。3月19日~26日に、小嶋と石川県立金沢商業高校教諭の河村好光氏が訪ロ。ウラジオストクの研究所で、沿海地方出土の装身具を中心に資料調査。 調査成果9月の調査では、沿海地方北部における海岸地域の様相を把握することができた。途中立ち寄った、コクシャロフカ遺跡(研究所と韓国文化財庁が共同調査)では、下層から渤海の土器が出土していた。このことは、北緯*度付近までは渤海が領域としていた時期のあったことを示す。今回調査したルドナヤ・プリスタニからアムグーの海岸地域では、テルネイあたりから針葉樹林が卓越して落葉広葉樹林が減少している。昨年度調査したイマン川の北を流れるビキン川流域でも同様の植生変化が見られるようであり、落葉広葉樹林地帯が渤海の領域と関わっている可能性が高い。ルドナヤ・プリスタニからアムグーにいたる地域では、見晴らしの良い岬に7~10世紀頃と推定される遺跡がいとなまれている事例を多く見た。2月のサハリンでの調査は、セデイフ遺跡やシラヌシ遺跡から出土した遺物を中心に調査した。3月のウラジオストクでの調査は、9月の調査で採集した遺物の実測と写真撮影を実施した。また、沿海地方の靺鞨・渤海の遺跡から出土している管玉やガラス玉などの装身具類の実測・撮影を行った。
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