2009 Fiscal Year Annual Research Report
グアム島所在の先史時代村落ハプト遺跡の学術調査研究
Project/Area Number |
21401032
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
片岡 修 Kansai Gaidai University, 国際言語学部, 教授 (90269811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, 生活科学科, 教授 (70264439)
細谷 葵 関西外国語大学, 総合地球環境学研究所・研究部, 研究員 (40455233)
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Keywords | マリアナ諸島 / ミクロネシア / グアム島 / ハプト遺跡 / ラッテストーン |
Research Abstract |
第二次世界大戦終戦直後からアメリカの文化財行政によるマリアナ諸島の考古学調査が行われ、グアム島では近年の観光産業発展によるホテル建設に伴う緊急調査が急増した。しかし、多くは墓跡やラッテストーンなど遺跡の一部の発掘調査にとどまってきた。加えて、グアムの伝統文化はスペイン時代に急変し、キリスト教神父や牧師によるわずかな記録を除くと先史時代の理解に参照できるような民族誌が欠落している。従って、グアム島の先史時代の社会や文化を理解するためには、植物考古学や地質考古学や自然人類学など異なる分野の専門家で構成される学際的な考古学研究が不可欠であると考えた。 その意味で、第二次世界大戦の戦禍を免れ、米海軍通信基地内に立地していることから観光客や一般人の影響をほとんど受けることなく保存されてきたハプト遺跡は、マリアナ諸島における先史時代村落の全体像を理解する上で最重要の遺跡である。 今年度は平成21年8月と22年2月の2度にわたりグアムを訪島し、調査の基礎資料となる約3万平方メートルにおよぶ遺跡の平面図(1:500)を完成した。それに基づき、研究目的達成に向けて平成22年度の具体的な調査地点の決定に至った。また、遺跡周辺の環境調査や他遺跡の見学やグアム大学のミクロネシア地域研究所(MARC)で文献資料の収集を行い、次年度の研究に備えた。 平面図作成を通して4基の井戸と少なくても15基のラッテハウス跡を確認し、各ラッテハウスに隣接した石囲いの調理跡と土器片や貝・魚骨などの動物遺存体など多くの遺物を含む焼土(midden)がセットになっていることを明らかにした。その上、遺跡は井戸を中心に大きく3グループに分けられ、グループ間のラッテハウスの規模に顕著な差異が認められた。村落内における身分差や機能と用途の相違を理解するための重要な研究課題を提供した意義は大きい。
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