2010 Fiscal Year Annual Research Report
グアム島所在の先史時代村落ハプト遺跡の学術研究調査
Project/Area Number |
21401032
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
片岡 修 関西外国語大学, 国際言語学部, 教授 (90269811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 正己 鹿児島女子短期大学, 生活科学科, 教授 (70264439)
細谷 葵 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40455233)
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Keywords | ラッテストーン / ラッテ期 / midden / uhm / 釣り針 / ビーズ / シャコガイ製斧 |
Research Abstract |
21年度作成の遺跡平面図で明確にした確実な15基のラッテハウス(高床式建物跡)のうち、保存状態の良好な北端に位置する住居跡(H-16)を中心とした遺構群を発掘調査の対象とした。遺構群は住居跡、調理施設(uhm)と焼土(midden)と石臼、井戸のセットで構成され、井戸を除く全遺構をカバーする240m^2にグリッド(1×1m)を設定し、遺構の性格と生活活動を明確にする目的で表土に散在する遺物の分布状況を確認した。分布には大きな偏りがあり、住居跡周辺には貝が、焼土周辺には土器片が多く分布していることが判明した。 次に、ハプト遺跡におけるラッテ期の時期と文化を理解するため、ラッテストーン間とmidden上とuhm内にテストユニットを設定した。その結果、H-16地域は紀元1420-80年のラッテ期後半の遺跡群であることが明確になった。middenからは植物遺存体を除き、予想していた動物遺存体(貝や魚骨など)はわずかしか出土しなかった。また、uhmに使用された焼石や焼土が掻き出され、動物や植物遺存体は検出されなかった。 一方、ラッテストーン間からシュモクアオリガイ製釣り針やウミギクガイ製ビーズとペンダントの未製品と完成品やシャコガイ製斧が出土し、住居の床下が貝製品製作の作業場や加工作業場として利用されたことが明らかになった。その上、幼小児と壮年の人骨が検出され、墓としても使用されたことが判明した。 1660年以降のスペイン統治による急速な伝統文化の変容により、先史時代を理解できる民族誌などの記録が少ないため、本調査によりラッテ期(紀元1000年からスペイン統治時代)の村落形態や文化が浮き彫りにされつつあることの意義は大変大きい。
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