2011 Fiscal Year Annual Research Report
グアム島所在の先史時代村落ハプト遺跡の学術研究調査
Project/Area Number |
21401032
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
片岡 修 関西外国語大学, 国際言語学部, 教授 (90269811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, 生活科学科, 教授 (70264439)
細谷 葵 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40455233)
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Keywords | マリアナ諸島 / グアム島 / ハプト遺跡 / ラッテ期 / ラッテストーン / ウム / ビートル・チューイング |
Research Abstract |
グアム島北西部の米海軍通信基地内の海岸に立地する3万m^2のハプト遺跡で、プレ・ラッテ期(AD.20-130)とラッテ期(AD.1270-1520)の遺構が確認された。とくに、ラッテ期村落がそっくり保存されており、マリアナ諸島における当時の社会や文化を理解する上で最良の遺跡である。異なる研究分野の専門家で構成される学際的研究を不可欠と考え、本プロジェクトを立ち上げた。 今年度の7月24日~9月2日の間に二度の調査を行った。村落構造を明らかにすることを目的に、昨年度からの継続調査として遺跡北端に位置する住居跡(H-16)と、ハプト遺跡最大の住居跡(H-31)を中心に発掘調査を実施した。遺構の構造と詳細な採集遺物の計量分析に基づき、下記の事柄が検証された意義は大きい。 (1)村落はAD-1200ごろから建設が開始され、AD.1400年代にその最盛期を迎えた可能性が高い。 (2)住居の床下空間は、墓、作業場、製作場(漁具・装飾品・工具)、飲食など多目的に活用された。 (3)製作活動を示す遺物と共に土器片の分布が、ラッテストーンを中心に外側周辺に集中する傾向を確認した。 (4)長年の調理場の使用による堆積土である焼土に、当然ながら調理に使われた土器の分布が集中していた。 (5)植物遺存体分析の結果、焼土内には魚骨や種子など食料残滓が含まれている一方、H-16の方形石組みの調理場(ウム)は使用後の掻き出しによる清掃が行われたことを明らかにした。 (6)住民が消費したはずの魚や貝など動物遺存体の出土が少なく、貝塚に相当する遺構が存在しない。 (7)H-16の石柱間検出の人骨から幼児を含む3人が埋葬され、人骨溜の検出から二次埋葬が行われたことが明らかになった。 (8)発見された人骨溜における脛骨の欠落は、それらが槍製作に使用された可能性を示唆した。 (9)規模の異なる両住居跡に顕著な出土遺物の差異は認められないが、大型住居隣接の焼土から出土した大型のコブダイの咽頭歯板と外洋種の魚の椎骨は居住者の身分差を示唆した。
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