2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル・シティーの形成と展開に関する国際的比較研究
Project/Area Number |
21402013
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 康夫 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50346277)
鏑木 政彦 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80336057)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
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Keywords | 政治学 / グローバル化 / 都市政治 / 都市政策 / サッセン / ヤング / 社会運動 / 多文化主義 |
Research Abstract |
本研究は、グローバル化に有利な政治的空間としての都市の特異性に着目する、グローバル・シティー論を手がかりとして、グローバル化の歴史と現状に関して国際比較を行うものである。本年度は、地方とグローバル化の関係に関する研究枠組みの構築と、それを用いた多面的な事例比較に関連する、以下の諸作業を行なった。(1)まず、グローバル化と地方の関係を解明するための理論的枠組みの基礎となりうる先行研究として、サッセンやヤングらの理論における地方の位置づけを批判的に検討した。その結果、(1)グローバル化の主要因を金融資本とそれに付随するサービス業の世界的連携に求める、サッセンのグローバル・シティー論の場合には、当初グローバル化の舞台を少数の大都市のみに限定する傾向が見られたが、その理論が近年多様な批判を受ける中で、少なくとも地方都市では一定のグローバル化の可能性を認めるという変化が見られること、(2)他方より多様な産業の労働現場一般における、人や物の移動が持つグローバルな波及効果に着目するヤングの場合、その搾取工場論などに典型的なように、当初から地方におけるグローバル化の可能性を一定程度認めていること、等の重要な知見が得られた。(2)更に、こうした理論的分析を前提に、北米・西欧・東欧諸国における2000年代以降の地方において登場した、グローバル化のための議論や運動の実態について様々な比較研究を行った。その結果(1)各国とも、自由主義的な政治経済改革が進展した2000年代前半においては、グローバル化の議論・運動の主たる舞台は都市の金融・サービスセクターであり、地方でのグローバル化の進展はみられなかった(2)2000年代後半からは、工業や農業、介護セクターでの国際的な人や物の移動の増加と共に、地方での議論・実践の一定の進展が見られた、等の重要な知見を得た。
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Research Products
(14 results)