2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21402015
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 一雄 専修大学, 法学部, 教授 (60095552)
伊藤 融 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (50403465)
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (00365694)
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Keywords | 南アジア / ディアスポラ / 宗教施設 / 移民政策 / マイノリティ / 多文化主義 / グローバル化 / エスニック紛争 |
Research Abstract |
22年度は21年度に引き続き、シク教徒、カシミール・ムスリム、タミル人コミュニティの調査を行った。特にタミル人コミュニティが紛争後のジャフナを中心としたタミル人社会の再建に向けて動き出したため、ロンドンでタミル人コミュニティへのインタビューを中心に聞き取り調査を行った。また、インドでも在外インド人に対する認識や政策の変化についての聞き取りを行った。さらに、研究の枠組みについての研究会で議論を重ね、方向性を確認した。ロンドン出張中に震災と原発事故が起こったため、3月下旬に予定していた研究会を6月に延期した。新たな方向性は以下の通り。 1.カシミール系移民のアイデンティティが政治状況の変化とともに変わってきている。移民当時はミルプーリー(出身地)であったものが、インド側カシミールでの紛争の激化とともに、カシミーリーへ、そして印パ紛争においてはパキスターニー、さらにはグローバルなイスラーム過激派の問題がクローズアップされると、グローバル・ムスリムへと変化してきた。 2.タミル問題の「平和的解決」の在り方について、自治権獲得をめざす、議会における融和路線/対立路線など、タミル系ディアスポラ内部では意見が分かれている。しかし、海外からの復興支援が必要であるという点では、在英タミル系ディアスポラから幅広い支持を得ている。 3.イギリスの移民政策、特に多文化主義から共同体凝集論への移行が議論されている。移民による暴動やテロ事件が要因である。Ted Cantleの報告書が出されているので、今後その分析を行う。 4.在米のヒンドゥー・ナショナリストにも戦略変化がみられる。インドの台頭に伴い、経済的利益を求める声が強まっているが、彼らが支持するのはインド国内でヒンドゥー色がきわめて強いグジャラート州のモディ首相である。一見右派のヒンドゥー・ナショナリズム運動の一環ととらえられがちな動きが必ずしも宗教的動機ではないことが明らかとなった。
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