2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21402015
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 一雄 専修大学, 法学部, 教授 (60095552)
伊藤 融 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (50403465)
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (00365694)
|
Keywords | 南アジア / ディアスポラ / 宗教施設 / 移民政策 / マイノリティ / 多文化主義 / グローバル化 / エスニック紛争 |
Research Abstract |
最終年度は、南アジア系ディアスポラがホスト国の情勢によってどのような影響を受けるか、その際本国との関係はどのようなものになるかを、より広い視野でとらえることを一つの課題とした。そのために、最も歴史が古く、かつ政治情勢(アパルトヘイトとそれに対する各国の制裁)によって本国との関係が遮断された時期がある南アフリカ、長年白豪主義によって移民受け入れが停止されたが、その後新たに人気の移民先になっているオーストラリアでの調査を行った。同時に研究のまとめとして、最終成果の論文執筆の担当、構成、枠組みの設定を行った。 全体としては、移民社会の分裂状態が顕著になってきている点が強調できる。その分裂の要因を中心に研究をまとめることとした。以下が主な発見と今後の研究課題である。 1.ホスト国と本国の関係が政治的理由で遮断された歴史(南ア)が移民のアイデンティティやコミュニティに及ぼす影響は甚大である。独自のアイデンティティ、ヒンドゥー・ムスリム対立の不在 2.人種、宗派対立と階級、社会階層間の対立が混同されていることが多いが、現実の見極めが必要である。 3.在外タミル人は武装闘争を放棄したと考えられる。その要因の分析を行うと同時にスリランカのタミル人社会の再建への在外タミル人の役割をどう自己認識しているかの分析をさらに進める。 4.シク教徒の社会もホスト国での社会的地位などの違いによって分裂してきている。本国脱出、移民志向の強いコミュニティであるが、その主な動機は政治的なものから、経済的なものへと変化している。 5.カシミール紛争は、エスニック紛争から印パ間の国家間紛争へ、そしてグローバルな宗教戦争の一環としての紛争へと性質を変えてきている。それに伴ってカシミール系移民のかかわり方も変化し、分裂が一層顕在化してきている。英国の移民政策、多文化主義政策の変化の影響も大きい。
|