2012 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯泥炭湿地荒廃地および湛水造林地からのメタン放出
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21405037
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (80211895)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタン / 熱帯泥炭湿地 / 再湛水 / Melaleuca cajuputi / 生態系修復・整備 / 地球温暖化ガス排出削減 / 国際研究者交流 / タイ |
Research Abstract |
泥炭土壌からのメタン放出に関しては水位環境の異なる条件下における放出速度のデータの蓄積を継続し、水位変動に対する応答を解析した。非湛水状態ではメタンの放出速度の局所的な変動が大きく、場所によっては5 mg CH4 m-2 h-1を超える放出も検出されることがある。湛水状態ではメタン放出速度の局所的な変動が小さく、また非湛水状態でのメタン放出速度を超えるような湛水状態でのメタン放出は確認されていない。開発された熱帯泥炭土壌を再湛水して森林を再生した際には、泥炭土壌が嫌気環境におかれることにより微生物による泥炭の好気的な分解が阻害されて二酸化炭素の放出が抑制される一方で、メタン菌によるメタン生成活性の増大により泥炭土壌からのメタンの放出が増大する可能性が指摘されているが、メタン放出速度の水位応答の解析結果から、その可能性は低いと考えられる。Melaleuca cajuputiの樹体からのメタン放出に関しては、前年度に樹液流速度の日変化に同調するような放出速度の変動が確認されたため、測定開始時間を早め、また測定時間間隔を短くして再度測定したが、放出が検出されなかった。測定開始直後まで土壌が非湛水状態にあり、また同時に測定した土壌表面からのメタン放出速度も小さかったことから、樹体からのメタン放出が検出されなかった原因として放出源となる土壌中のメタン濃度があまり高くなかったことが考えられる。次年度、樹体からの放出が見込めるような水位環境を選んで再度、樹液流速度との関連を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの進捗状況である。泥炭土壌からのメタン放出、樹体からのメタン放出ともに、継続してテータの蓄積を図る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
泥炭土壌からのメタン放出、樹体を介したメタン放出ともに継続してデータの蓄積を図り、これらの結果をとりまとめ、熱帯泥炭土壌開発地を再湛水化し森林造成を行う際のメタンの放出量の変動を予測し、二酸化炭素放出も含めた温室効果ガス排出削減効果の推定を行う。
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Research Products
(2 results)