2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルコフ過程理論を用いた遺伝的アルゴリズムの計算効率予測法の開発
Project/Area Number |
21500219
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
古谷 博史 University of Miyazaki, 工学部, 教授 (80145151)
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Keywords | 遺伝的アルゴリズム / マルコフ過程 / 成功確率 / 最適解出現時間 |
Research Abstract |
本年度は,積型適応度関数(各ビットに関して線形の適応度)に研究対象をしはり,集団の個体数Nが遺伝的アルゴリズム(GA)の計算効率に与える影響を研究した.遺伝的操作として選択・交叉・突然変異の3種類について.GAにおける各々の役割とそれらのN依存性について調べた.注目する量としては,平均適応度や最適解の頻度の時間変化,計算が収束した状熊でのそれらの値などがある.しかし,確率論的理論においてこれらの量を直接扱うごとは非常に難しい.そのため,まず1次のスキーマ頻度(各ビットが0または1の値を取る割合)のN依存性を研究した.そうして得られた結果を一般のLビットの個体に拡張していく.本年度の最大の成果は,計算が定常分布に収束した状態において,集団中に最適解が存在する確率を求めるアルゴリズムを開発したことである.この方法では,1次スキーマの確率分布をマルコフ過程理論を用いて求めた後,集団全体の遺伝子の確率分布を計算することができる.このアルゴリズムにおいてもマルコフ過程理論を一部用いた.通常,固体のビット長が増えると最適解の存在確率は急速に減少することが予想される.しかし,突然変異率を調整するば,減少の程度は穏やかになり,線形に近い減少率を得ることができることを示した. 本年度の2番目の成果は,GAをモデル化したマルコフ過程が定常分布に収束する時間(世代数)を予測するアルゴリズムを開発したことである.マルコフ過程理論においてJ. J. Hunterは,基本行列とよばれる行列を用いて,定常分布に収束する数式を提案した.我々はその数式をGAのマルコフモデルに応用し,収束時間を計算し,数値実験とよい一致が得られることを示した.
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