2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルコフ過程理論を用いた遺伝的アルゴリズムの計算効率予測法の開発
Project/Area Number |
21500219
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
古谷 博史 宮崎大学, 工学部, 教授 (80145151)
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Keywords | 遺伝的アルゴリズム / マルコフ過程 / 成功確率 / 最適解出現時間 |
Research Abstract |
遺伝的アルゴリズム(GA)は,突然変異を導入するとエルゴード的マルコフ連鎖モデルにより記述できることが知られている.本年度は,このことを利用し,最適解が出現する世代数の平均(平均計算時間)Tについて研究を行った.そのため次の3つの量に着目して進化の解析を行った. (1)成功確率(S)集団中に最適解が存在する確率 (2)最適解生存時間(a)集団が最適解を連続して保持し続ける時間(世代数) (3)混合時間(Tm ; Mixing Time)集団の分布が定常分布に収束する時間(世代数) 積型適応度関数を用いた研究では,平均計算時間Tはa/S<T<Tm+a/Sと上限Tm+a/Sと下限a/Sの範囲にあることが明らかになった.従って,平均計算時間Tを短くするためには,Sを大きくし,aを小さくし,Tmを小さくすればよいことがわかる.積型適応度関数のGAについて,最適解を得るまでの平均計算時間Tの上限と下限を求め,数値実験でもTがこの範囲に収まることを確認した.さらに他の適応度関数についてこれらの量の関係について解析を始めた.混合時間Tmはエルゴード的マルコフ連鎖が定常分布に収束するまでの時間である.積型適応度関数では,Hunterが提案した混合時間Tmの計算法を用いて解析的に求めることができ,平均適応度の収束時間とよく一致することを示した.
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