2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500355
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
馬場 広子 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40271499)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 髄鞘 / 軸索輸送 / グリア |
Research Abstract |
神経細胞が正常に機能する上で、細胞体でできた分子をランビエ絞輪や軸索末端のシナプス部位など必要部位に運ぶ軸索輸送は重要な役割を果たす。近年、髄鞘異常を伴う様々なマウスモデルを用いた解析から、髄鞘が局所の軸索輸送自体に影響を与える可能性が示されてきている。従って、軸索周囲のどのようなシグナルが軸索輸送に関連し、髄鞘異常で何故軸索輸送障害が引き起こされるのかを明らかにすることが重要と考える。本研究では、髄鞘が軸索輸送に与える影響に関して明らかにすることを目的としている。このため、髄鞘両端のランビエ絞輪隣接部における髄鞘-軸索間結合の形成されないスルファチド欠損マウスに見られる軸索異常がどのようにしておきるかを中枢神経系および末梢神経系で解析している。その結果、平成22年度では、加齢と共に進行する軸索腫脹部位において、IP3受容体など局所のカルシウム濃度変化に関与する分子が蓄積していることがわかった。スルファチド欠損マウスにおけるこのような変化は発達期からすでに見られることから、慢性的に引き起こされる軸索局所のカルシウム濃度変化が軸索輸送障害に関わり、加齢と共に障害程度が大きくなると考えられた。これらの研究成果に対して、タイで行われたアジア・太平洋神経化学会シンポジウムに招待され、発表した。現在、軸索をラベリングし、カルシウム指示薬を用いた軸索局所のカルシウム濃度変化を解析できる実験系を準備中である。次年度もカルシウム濃度変化の解析を行うとともに、この濃度変化に関連するシグナルを引き続き解析する予定である。
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