2009 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質細胞におけるGABAA受容体のサブユニット構成の分子機序
Project/Area Number |
21500360
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
井上 真澄 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (40223276)
|
Keywords | GABA / 副腎髄質 / パラクリン / GABA_A受容体 / δサブユニット / Cl電流 / GABA_B受容体 / 免疫沈降 |
Research Abstract |
副腎髄質においてGABAは、神経終末に存在するのでなく、副腎髄質細胞に存在し、パラクリンとして機能していると考えられる。そこで、このGABAの機能の詳細を明らかにするために、ラット副腎の灌流実験を行った。ラット副腎静脈にカニューレを挿入して逆行性に灌流し、Ca蛍光色素を副腎髄質(AM)細胞に取り込ませて、AM細胞の膜興奮性を蛍光画像を用いて検討した。GABAを投与するとCa蛍光の増加がAM細胞の41%で観察された。このGABAの作用はカテコールアミン(CA)分泌を伴っており、GABAは分泌の刺激前よりCA分泌を4倍増加させた。GABAにより促進されたCA分泌中のアドレナリン量は70%で、静止時の分泌のアドレナリンの割合85%より有意に小さかった。一方、GABA_B受容体のアゴニストのバクロフェンはまったくAM細胞の興奮性に影響を及ぼさなかった。これらのことは、ラットAM細胞にはGABA_A受容体が発現しており、GABA_B受容体は存在しないこと、さらにGABA_A受容体はアドレナリン細胞よりノルアドレナリン細胞に多いことを示唆する。単離AM細胞から穿孔パッチクランプ法により膜電位固定下で全細胞電流を記録した。GABAはCl電流を誘発したが、バクロフェンはまったく電流を誘発しなかった。GABA誘発性Cl電流は、δサブユニットを含むGABA_A受容体を抑制することが知られている10μM Zn^<2+>イオンによって有意に抑制された。この機能解析はAM細胞のGABA_A受容体がδサブユニットを含むことを示唆する。実際にラット副腎髄質のホモジェネートを抗β抗体で免疫沈降させた複合体の中にα1、α3そしてδサブユニットが含まれていた。逆に抗δ抗体で得られた免疫沈降物の中にはα1、α3およびβ2/3サブユニットが含まれていた。
|
Research Products
(4 results)