2010 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症マウスを用いた生活習慣病重責モデルの作成と応用
Project/Area Number |
21500392
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
伊藤 薫 南九州大学, 健康栄養学部, 教授 (70341633)
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Keywords | 疾患モデル / 高脂血症 / 血管機能 / 動脈硬化 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
高脂血症は、動脈硬化症の主な危険因子であり、心筋梗塞や脳血管障害の発症に関与する。ヨーロッパモリネズミ(Apodemus sylvaticus)には普通食で血中コレステロール値が200mg/dl以上と高い値を自然発症する個体群が出現するため、家族性高脂血症モデルとして使用できる。このマウスを用いて、血中コレステロール濃度が血管機能に与える影響を検討した。普通食で高コレステロール血症を自然発症するApodemus hyperlipidemic(AHL)マウスと、対照群として正常コレステロール値を示すApodemus normolipidemic(ANL)マウス(200mg/dl以下)の内皮を介する弛緩反応を観察したところ、AHLマウスではANLマウスに比べ有意な内皮依存性弛緩反応の減弱が認められた。さらに高コレステロール負荷が血管機能に及ぼす影響を観察する目的で両マウスに高コレステロール食を5週間負荷した後、内皮依存性弛緩反応を観察したところ、高コレステロール食により両群の血中コレステロール値は増加し、その増加の程度はANLマウスよりAHLマウスで有意に大きかった。また肝重量も増加し、その体重量比はAHLマウスで有意な増加が示され、さらにAHLマウスでは脂肪肝や肝硬変などの病理的変化がみられた。内皮依存性弛緩反応は、高コレステロール食負荷後では両群で弛緩反応の有意な減弱が認められたが、その程度はAHLマウスの方が大きかった。内皮非依存性の弛緩反応は、AHL、ANLマウスの間で差は認められなかった。高コレステロール食負荷による血中コレステロール値の増加と内皮依存性の弛緩反応の減弱の結果から、血中コレステロール値の上昇と内皮依存性弛緩反応の減弱が相関していることが認められた。この弛緩反応は内皮からのNOの合成遊離によるもので、コレステロール値とNO合成減弱の関連をさらに検討していく。
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Research Products
(1 results)