2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500480
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
神先 秀人 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (10381352)
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Keywords | 重量物 / 運搬方法 / 歩行分析 |
Research Abstract |
本研究は,関節に負担の少ない荷物の運搬方法を提示することを目的として,種々の運搬方法の違いによる下肢の関節や脊柱への影響を運動学,運動力学的な観点から分析することである.平成23年度においては,1)荷物の重量を変化させた場合に,運搬方法の違いによる下肢の関節や脊柱への運動学,運動力学的影響がどう変化するかを検証する,2)床反力から得られる重心移動に必要な仕事率(Power requirement)と関節パワーより得られる下肢筋により産出される仕事率(Power output)について,運搬方法による差を検証することを目的とした. 重量の違いによる比較は,健常男性を対象に,体重の10%と20%の重量の荷物を背負って運搬する際の比較を行った.その結果,重い方が股関節の最大屈伸角度,骨盤前傾角度,体幹最大屈曲モーメントが有意に増加したが,体幹最大伸展モーメントは減少した.このことから,本研究の範囲においては,リュックサックの重さの増加は体幹屈筋の筋活動を要求するが,体幹伸筋の大きな筋活動は,必ずしも要求しない可能性が示唆された. また,Power requirementやPower outputを用いた比較を行うために,床反力値からPower requirementや仕事量,機械的効率性の指標である位置エネルギーと運動エネルギーの交換率(Recovery)を算出するソフトを新たに開発した.両下肢の各関節により産み出されるパワーを総計して得られる曲線(Power output curve)と身体重心移動から得られるパワー曲線(Power requirement curve)は極あて類似していた.まだ解析途中ではあるが,「肩にかける」方法や「手でさげる」方法では,対側下肢の接踵期後の両脚支持期に同側とは非対称な大きな正のPowerの算出がみられ,その時期における下肢の大きな筋活動と下肢関節への負荷量の増大が生じる可能性が示唆された.
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