2010 Fiscal Year Annual Research Report
武道固有の身体技法に関する基礎的研究―中学校武道教材のために―
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21500552
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80114205)
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Keywords | 武道 / 礼法 / 合掌体 / 気 / 型 / 心身技法 / 運動学習 / 身体感覚 |
Research Abstract |
21年度の研究では、古流剣術の特徴である「三重十文字の体(たい)作り」、「すり足」、「上虚下実」、「攻防一致」「一足一刀」「機先」などをキーワードとする武道固有の心身技法モデルの祖型を作成する準備が整い、それを基に22年度は以下のような研究計画を立てた。それは、「新しい型と実施要領の素案をもとに、剣道経験のある被験者とともにその型を実践し原型を制作する。週1回1時間、合計30時間(15時間×2回)実施。次に、制作された原型を実施要領に基づいて実践し、アンケート調査と面接法によって何を獲得し何を学んだか、実態を調査する。調査結果を基に原型と実施要領に修正を加え「型学び教材モデル」を作成する。研究方法として、埼玉大学附属中学校の生徒、埼玉大学学生、近在の一般希望者に一期10名、二期10名、計20名に被験者を依頼する」というものであった。 しかしながら、協力校が実施している体育の授業での「武道」実践を担当できることとなり、被験者の大幅な変更が生じた。したがって、当初計画は次年度持ち越しとし、22年度は、既に作成された「武道固有の心身技法モデルの祖型」を、中学校1年生(男子80、女子80、合計160名)を対象とした体育の授業で実施するための武道教材としてあらたに組み直し、50分×5回分を作成し、実際に授業を試みることとなった。 始めて武道体験をする生徒を対象とすることになり、「礼法」が「相手を尊重する」行為であるのみならず、強い体づくりのための「稽古」であること、また、それ自体が護身術と直結していることなどを中心軸としたあらたな教材モデルを作成することとした。そこでは「三重十文字の体(たい)作り」、「すり足」、「上虚下実」、と新たに「合掌体」を実施しその意義を説明した。それらの実践を通じて、「生徒自身の身体が変化し相手に強い力を与えるが自分自身の努力感は軽減されることを感じさせる」ことができた。実施された授業の録画と生徒が記載したワークシートを参考に、具体的な身体技法が生徒にどのように受け止められていたかを検討し、授業に参加していた現場の体育教員の感想や意見を取りまとめて、「攻防一致」「一足一刀」「機先」など、剣道の特性にかかわるさらに進んだ教材作成に役立つ資料が準備されたことは大きな成果であった。
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Research Products
(1 results)