Research Abstract |
本研究では,インフォームド・コンセントが得られた在宅中高年者男女182名(57-85歳,平均69.57歳)を対象に,ボディーイメージスケール(身体満足度,肥満ストレス度),シルエット図による体型評価,等によって保持するボディーイメージの実態を明らかにすること.また,生理学的指標(骨密度,身体的特性(身長,体重,体脂肪率),体力(握力,椅子立ち上がり),生活習慣)と心理学的指標(社会的体格不安)についても調査を実施し,ボディーイメージとの連関を分析することによって,最終的にはボディーイメージと運動行動実践との関連性を検討することを目的とした,その結果,以下に示す知見を得た. (1)中高年女性は男性よりも,自身の身体に対して満足しておらず,またそれをストレスと感じ,他者からの体格評価に大きな不安感を抱いていることが示唆された,(2)シルエットチャートを用いて「実体型」と「理想体型」を選択させ,両者が一致した場合には自分の体型に対する「満足感」が得られていると解釈し,不一致ケースとの出現率の相違を求め,運動習慣の有無とのクロス集計を行った結果,シルエットの一致度は運動習慣発現頻度に明らかな関連を有さないことが示され,中高年男女が抱く理想体型と実体型との間の視覚的ズレは,体型改善に向けた運動の習慣化に直接的には結びつかない要因である可能性を示唆された.(3)体脂肪率とBMIについては全てのボディイメージ尺度で主効果が有意となり,「肥満度が高いこと」と「ネガティブなボディイメージ」との間には強い関連性が存在すると考えられる.したがって,中高年の継続的な運動習慣が適正なボディイメージの構築に貢献するという仮説は支持されたが,適切なボディイメージが運動習慣の確立に寄与するか否かについては明確にならなかった.今後,更に対象者を増やし,世代毎及び各測定指標間の関連性に関する解析を進める予定である.
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