2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500704
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長津 美代子 群馬大学, 教育学部, 教授 (20192239)
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Keywords | 中年期 / 親のケア / 感情労働 / ケアの社会化 / 介護の心理的負担 / 援助態勢 / 親子関係 / 夫婦関係 |
Research Abstract |
中年期後期における親のケアを感情労働(「相手の中に適切な精神状態を作り出すために、自分の感情を促進させたり、抑制しながら、自分の外見を維持することを要求する労働」A.R.ホックシールドによる)と捉え、21年度の事例研究や先行研究を参考に15項目の感情労働尺度を作成した。さらに、感情労働に影響する変数として、ケアの社会化、援助者の存在、自己投入できるものの有無、ケアの位置づけ、家族関係などを設定して、計量調査を行った。 調査は、2006年に選挙人名簿から無作為で抽出した妻が55-64までの夫婦3000名のうち、回答があった797名に、知り合いの男女3名を加えて、800名に対して実施した。19票が住所不明などで返却されてきた。有効回収数は、女性329名、男性288名。平均年齢は、女性63.1歳、男性66.1歳。女性の38.9%、男性の56.4%が有職であった。きょうだい数の平均は、女性3.9人、男性4,4人で、子ども数の平均は男女ともに2.1人であった。家族構成は、男女ともに、夫婦のみが過半数を占め、次に多いのが夫婦と子ども(28%~31%)であった。平均結婚年数は、女性38.2年、男性38.7年であった。 主な結果は次の通りである。1)女性の66,6%、男性の37.5%に介護経験がある。うち、女性の54.8%、男性の17.6%が主な介護者として関わっている。2)因子分析の結果、「理解・対応(9項目)」「プラスの感情維持(3項目)」「マイナスの感情抑圧(3項目)」の3因子が抽出された。3)マイナスの感情抑圧得点は女性の方が高く、女性の方がマイナス感情を抑圧しながら介護に当たっている。4)女性は、介護の関与の仕方による感情労働得点の差は見られないが、男性の場合は、補助的関与よりも主な介護者として関わった方が、「理解・対応」「プラスの感情維持」「マイナスの感情抑圧」の得点がいずれも高かった。
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Research Products
(1 results)