2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500704
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長津 美代子 群馬大学, 教育学部, 教授 (20192239)
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Keywords | 中年期 / 親の介護 / 感情労働 / 男性の介護 / 介護の社会化 / 援助態勢 / 介護の困難性 / 家族関係 |
Research Abstract |
平成22年度の計量調査から、親の介護に関わった男性のうち、19名が主な介護者として関わっていたことが明らかになった。本年度は、主に親の介護に関わった男性2名を含む合計6名を対象に詳細なインタビュー調査を行った。感情労働の状況、介護の困難性、介護態勢、介護サービスの活用状況など尋ね、男性が介護を担当する場合の課題を女性の場合と比較しながら分析した。インタビュー調査は、半構造化面接法で実施。対象者の自宅に伺い、許可を得て、ICレコーダーによる録音を行い、調査終了後にテープおこしを行った。調査時間は60~100分程度。対象者の年齢は61~73歳。介護者と要介護者の性別関係は、女性が女性を介護が4ケース、男性が女性を介護が1ケース、男性が男性を介護が1ケースである。介護者と要介護者の続柄は、実親の介護が5ケース(女性が自分の母3ケース、男性が自分の父1ケース、男性が自分の母1ケース)、義理親(女性が夫の母)の介護が1ケースであった。 主な結果は次の通りである。1)男性は2ケースとも、プラスの感情維持得点とマイナスの感情抑圧得点が低く、息子が実父を介護しているケースが特に低かった。2)男性が主たる介護者の場合は、妻が援助者であるが、女性が主たる介護者の場合は、夫に加えて、きょうだい、家族など、多様な援助者が得られていた。3)女性が夫の母(姑)を介護しているケースでは、夫が早めに退職して、介護に関わり、妻に感謝の気持ちを表している。夫の親を介護したことによって、夫婦関係がよくなり、子どもにも高齢者を労わる気持ちが生まれている。4)2人の男性介護者が介護の困難性として指摘しているのは、病院や施設から仕事中に呼び出されたなど、仕事と介護の両立の問題である。5)多様な介護サービスを活用しながら、きょうだいや夫からの支援を得、友人からも精神的に支えられるなど、理想的な在宅介護を行っているケースが見られた。このケースは、介護に対する評価も高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計量調査の結果にもとづいて、事例研究を実施した。詳細なインタビューであったため、予定よりも少ないケース数となったが、期待した成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間にわたって行ってきた研究(事例調査・計量調査・事例調査による各研究)をまとめる。これまでの研究の整理・再分析と文献研究を行い、本研究で明らかになった知見群を提示するとともに、本研究の位置づけを明確にする。計画の変更や、研究遂行上の問題点はない。
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Research Products
(1 results)