2012 Fiscal Year Annual Research Report
選択式問題による高専生の数学の学力保証とその教授方略に関する研究
Project/Area Number |
21500851
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
阿蘇 和寿 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80110154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 正治 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00311035)
小原 康博 熊本高等専門学校, その他部局等, 教授 (10106106)
長岡 耕一 旭川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20280315)
梅野 善雄 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30042211)
高田 功 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30178389)
山本 孝司 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30450133)
小林 茂樹 長野工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40321434)
服部 多恵 石川工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40569365)
柳井 忠 新居浜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (50220174)
小中澤 聖二 東京工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60259827)
森田 健二 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60312196)
冨山 正人 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70311016)
馬渕 雅生 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90239145)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 選択式問題 / 学力保証 / 教授方略 |
Research Abstract |
24年度は最終年度の前年の取り組みとして,とくに基礎的な事項の習得に選択式問題が有効であるのではないか,という考えから,石川高専4クラスに対して,あらかじめ与えておいた選択式問題予備問題の類題の試験を行うという方法を採り,その結果を検証した。対象とした授業は,3年生解析学IIの2クラス,3年生の総合数学の1クラス,1年基礎数学Aの1クラスであり,どのクラスもほぼ40名である。 その結果は,3年生には有効であるという結論は得られなかったが,1年生には有効な方策が得られた。 (1) 3年生解析学IIの2クラスついては,年4回の定期試験の前に,基礎数学の重要な事項の選択問題を与え,そのための解説時間を設けた上で,定期試験の中でその定着の度合いを検証した。3年生の総合数学はとくに低学年で学んだことの復習のための科目(後期のみ)であり,授業と選択式問題の試験とをほぼ同じ比重で行った。これらの結果は当初の予想とは逆の,定着は非常に悪いという結果となった。この定着の悪さはどこに起因するかというのは別の意味で研究課題となると思われるが,本研究の範囲ではない。おそらく,3年生では,基礎的な事項の習得に対するモチベーションが低いのではないかと思われる。 (2) 1年基礎数学Aの1クラスでは,10月以降に,限られた範囲の選択式問題の解説と小テスト,さらにそれらを総合した試験を行い,全員が75%の得点を挙げるまで試験を送り返し行うという方法を採った。この結果,関数に関する内容が中心である。第1回目の総合試験(40点満点)は10月30日で,クラス全員の43名の平均得点は32点であった。第2回目は11月6日に第1回目の平均得点が29.2点の学生14名だけを対象に行い,平均得点は33点であった。この方法は効果的であるという可能性はあるが,25年度以降のさらなる検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は「選択式問題による高専生の数学の基礎学力調査」「選択式問題解法のための教授方略の研究」「選択式問題による数学の基礎学力の定着度の評価」「高専生に必要とされる数学力の保証」という段階を経る予定であった。 これまで第1学年から第3学年まで,さまざまなクラスで選択式問題による指導と試験を行った結果,研究当初の見通しより定着度がはるかに低いということが確認された。このため,現実的には,選択式問題によって数学力の保証をするということが難しいという見通しとなっている。これが研究の達成度がやや遅れているとせざるを得ない理由である。 しかし,昨年度の後半から引き続いて行っている教授方略にはある程度の見通しが立っており,今年度の研究に期待するところである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに,他高専との協力が必要な作業はすでに終わり,「選択式問題を用いた一定の数学力を身につける教授方略の研究」およびその結果として「数学力が定着したことの検証」についてのまとめを行う段階に入っている。そこで,これまで継続して行ってきた,高専の数学教育研究会はメールなどでの意見のやりとりだけを行い,会議は行わない。これまでの結果から,今年度は次の方針で研究を進める予定としている。 (1)数学の基礎学力の定着を図るためには,定期試験だけでは難しい。ある程度の得点を挙げた学生であっても,学力が定着したとは言い難い場合もある。とくに基礎学力の定着を図るために,試験の予備問題と解説を配布し,予備問題の類題の試験を行うという方策をとる。 (2)この試験はすべての問題(基礎学力の場合は40題を選定)を,クラスの学生の75%以上が正解するまで繰り返し行う。この場合,正解率が75%を越えた問題は次の試験では除外されるために,問題数は減少していく。 (3)この試験はすべての学生が75%の得点を挙げるまで繰り返し行う。この場合,75%以上の得点を挙げたものが試験を免除されていくために,受験する学生数が減少していく。 (4)この期間のモチベーションを維持するために,ある程度の期間ごとに,得点が低い学生を対象に補習授業を行うこととする。 以上の試行は,昨年度から継続して行っており,その検証結果は夏に行われる日数教定期大会で口頭発表,日数教高専大学部会研究論文誌に投稿する予定としている。
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