2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500972
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 毅彦 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90237941)
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Keywords | 科学史 / 技術史 / 空気力学史 / 航空工学史 / 計測技術史 |
Research Abstract |
平成21年度には、本研究の成果の一部を、九州大学で開催された日本科学史学会ならびにブダペストで開催された国際科学史学会において発表した。科学史学会では「実験装置をめぐる歴史研究」と題するシンポジウムを企画し、企画者自身の講演として「計測装置としての風洞と寸法効果論争」と題して発表した。講演発表については『科学史研究』にシンポジウムの報告として掲載された。講演原稿はさらに加筆補正し出版予定の著作の1章として準備しているところである。国際科学史学会においてはほぼ同じ内容について「Controversy over the Reliability of Wind Tunnels in Early British Aeronautical Research」と題して講演発表した。ブダペストでの学会出席後、パリの国立図書館ならびに航空博物館を訪問し、そこでフランスの航空工学者であるAlbert Toussaintの博士論文、彼が所属していた航空工学研究所の報告書ならびに同研究所の歴史に関する文献を閲覧し、コピーを収集した。ドイツの事情に関しては、Michael Eckert氏のThe Dawn of Fluid Dynamicsを主として参照し、1900年代、10年代のドイツ・ゲッチンゲン大学における風洞計測に関する理論的実験的検討について調査した。日本における航空工学の歴史については、安全基準の制定に関して東京帝大航空研究所(東大先端研)所蔵の文献を参照し、米国技術者の招聘講演とその後の海軍の強度基準の策定に関して調査を進めた。この調査成果の一部を東京大学大学院総合文化研究科で開催された技術哲学のシンポジウムで発表した。また谷一郎の境界層の研究と層流翼の開発のための準備的な作業となった、海外文献の抄録作成のプロセスについて、『航空学会誌』に掲載される抄録とともに、先端研に所蔵される航空研究所時代の図書室が発刊した週報を参照し、その活動と動向を調査した。
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