2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500972
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 毅彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90237941)
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Keywords | 科学史 / 技術史 / 空気力学史 / 計測技術史 |
Research Abstract |
平成22年度の研究成果は主として次の4項目である。 (1)谷一郎の境界層の研究ならびに層流翼の開発に関して、谷の未公刊の資料を閲覧することで歴史的分析を深めることができた。谷の未公刊資料については、谷家に谷自身が製本した「論文集」2巻と「雑文集」1巻が保存され、日本大学に谷が寄贈した書籍、ノート、抜き刷り等の文献が所蔵されている。これらを参照することにより、とりわけ谷の層流翼の発明過程に関してより精密に知ることができるようになった。また科学史学会の発表においては、『日本航空学会誌』に掲載された海外文献紹介の作業(抄録委員会活動)に着目し、谷の層流翼発明以前の境界層の研究過程を追った。これらの成果は出版準備中の著作の1章にまとめられる予定である。 (2)谷一郎の層流翼ならびに境界層の研究の背景として、1930年代の境界層の研究に関してイギリスとアメリカの空気力学研究者の研究活動を追った。それにより、アメリカにおける層流翼の発明のきっかけとなったB.M.ジョーンズの研究がG.I.テイラーの乱流の統計的研究の成果を起源としていること、しかしその成果の技術的意義が一般には公表されず、当時テイラーの元に滞在していた日本の空気力学研究者友近晋に伝わらなかっただろうことを把握することができた。 (3)1910年代の風洞実験の信頼性に関する論争に関して、イギリスで補足的調査を進めるとともに、その研究成果を英文論文をまとめた。 (4)1930年代の飛行機の高速化を基礎づけた強度の規準設定の歴史経緯について、アメリカ人技術者の訪日が一つの鍵になっていることを見出し、その成果を4S国際会議で発表した。
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