2011 Fiscal Year Annual Research Report
旧制高等学校における科学教育の変遷:第一高等学校を中心に
Project/Area Number |
21500973
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 拓司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30262421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 裕之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20012495)
横山 ゆりか 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20251324)
折茂 克哉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30376579)
夏目 賢一 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (70449429)
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Keywords | 旧制高等学校 / 科学教育 / 図学 / 測量 / 帝国大学体制 |
Research Abstract |
平成23年度は、10月15日から12月4日にかけて東京大学駒場博物館で開催された「一高/濁逸第一高等学校資料にみる日独交流史」の準備に合わせて、第一高等中学校.第一高等学校がドイツから輸入した教材(顕微鏡、水銀拡散真空ポンプ、画学用の見本類、画学用鉛筆削り、ジーメンス・ダブルブリッジ、エーベルトイオン測定器など)の整理・調査を行い、またドイツが関わった顕著な出来事(地図漏洩上事件に端を発する陸軍のドイツ式測量の採用と1890年のフランス式機器の高等中学校への譲渡、1896年のX線発生実験の再現、1922年のアインシュタイン来日、第一次大戦後に獲得した南洋諸島への探検旅行など)の分析を通して一高の科学教育の実態の把握に努めた。一高における測量教育は、陸軍からの機器の譲渡があって初めて実測図作成などのかたちで実質化したこと、1896年のX線発生実験の成功は当時の高等学校の帝国大学に次ぐ研究機関としての性格を示すものであること、一高で教鞭をとっていた土井不曇の反相対論を一高生徒の一部は権威への抵抗として好意的に理解していたこと、南洋諸島への探検は、生物学・地学・地理学などの調査としての意味ももっていたことなどが明らかになった。上述の展示は、会期中、4080人の来館者(1日平均91人)があった。'. 寄託が予定されている故戸田盛和氏の資料については、年度中の搬入は叶わなかったが、梱包はほぼ完了した。故林主税氏の資料については、生産技術研究所と協力して整理・活用していくこととした。 戦前期の理化学研究所のサイクロトロン図面の目録化・デジタル化は、年度中には完了しなかったが、博物館の作業として継続して進めている。
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