2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510033
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松田 宗明 愛媛大学, 農学部, 助手 (00108408)
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Keywords | 環境質定量化・予測 / 環境分析 / 有害化学物質 / 臭素化ダイオキシン / 臭素系難燃剤 |
Research Abstract |
研究前半に開発した臭素化ダイオキシン分析法を用いて、主要難燃剤である臭素化ジフュニルエーテルを含むプラスチック機材の溶剤溶出成分と機材燃焼時生成物について、詳細な実験を行った結果、燃焼時には、4~8臭素化ジベンゾジオキシンが検出された。このことにより火事現場における作業者(特に、消防士)においては、多大な影響を及ぼすものと予想されるので、昨年度より継続して、これらの環境、消防士体内への影響を把握することにした。 火災現場で従事する消防士の臭素化ダイオキシンや臭素化ジフュニルエーテルを含む有機ハロゲン化合物の血中濃度について、一般人の濃度レベルと比較研究することにより火災による環境残留の影響を評価した。その際に、健康診断で用いられる生化学検査項目値や年齢などとの相関関係を解析の結果、年齢と幾つかの有機ハロゲン化合物の血中濃度には正の相関が見られた。しかし地方での火災現場や消防防火服の付着物には臭素系有機化合物が検出されるが、都市火災に比較して火災の規模か小さく、回数が少ないことなどから火災による消防士への影響はなかった。研究実施計画の中に、臭素系難燃剤の加熱過程での生成を挙げていたが、難燃剤を含む電子基板のプラスチック燃焼からの臭素化ダイオキシン生成の室内実験により証明され、この事象が火災現場で検証されることになった。 また、作業環境中(廃電化リサイクル関連)のこれらの挙動を追跡するため、廃電化リサイクル関連工場周辺における底泥中の臭素化ダイオキシン及び難燃剤(臭素化ジフュニルエーテル、HBCD等)の測定を行い、環境残留量がどの程度となるかを明らかとし、環境挙動を追跡した。幾つかの関連工場の底泥から高濃度で検出され、これらの化学物質がこれから先どの程度の量や期間にわたって残留し、周辺生物に影響をおよぼすかを監視する必要があろう。
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