2011 Fiscal Year Annual Research Report
国内外来種オキナワキノボリトカゲの生態系への影響評価に関する研究
Project/Area Number |
21510034
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
岩本 俊孝 宮崎大学, 理事 (40094073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 英利 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (10201972)
那須 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (40108725)
森田 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (90301382)
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Keywords | 国内外来種 / オキナワキノボリトカゲ / 生態系撹乱 / 在来種圧迫 |
Research Abstract |
本年度は,日南市におけるルーチン調査を継続し,かつ最終年度に当たるため分析,まとめの作業を行った.以下箇条書きにして今年度の成果を述べる. 1.4月~10月にわたり,月1~2回程度のルートセンサスを継続した.本年度は下記に述べるように,日南市による捕獲事業が開始されたことと,5月~6月の天候状態が良くなかったため,本ルーチン調査による捕獲数は昨年度に比べ,大幅に減少した.トカゲの繁殖活動は従来と変わらない季節性を示した. 2.8月10~11日に,日南市における広域調査を実施した.過去3年間に比べ発見数が多く,かつこれまで低密度であったうっ閉した森林内でも多くの個体が発見されたことから,次第に分布域内が高密度化している可能性が憂慮される結果となった. 3.本種の生態系への影響を評価するため,スイープネット及び吸引サンプリング法による無脊椎動物相調査を行った.無脊椎動物相全体,及び主たる餌であるアリ類毎に,群集の類似性について生息域内外間で比較したが,統計的な有意差は認められなかった.胃内容物アリ類組成と野外のアリ類組成とを比較したところ,1種のアリで,トカゲの捕食による影響が出ている可能性が示唆された. 4.行動調査により本種は「sit & wait」型の捕食者であることが明らかになった. 5.標識採捕法により密度調査を行った.ルートセンサス調査区内の一部120m区間の道両幅5m内で頭という推定値が得られた.昨年度と,日南市事業による捕獲のあった本年度の密度を比較すると,大幅な密度低下が明らかになった. 6.植生毎の密度を計算することにより,日南市の分布域全体で約9000頭の成体の生息が推定された. 7.ベイズ法により各種個体群パラメータを推定することができた.増加率rは0.037(月)であった. 8.低温耐性実験を行い,本種の越冬時の限界気温は-2~-4℃であることが分かった. 9.指宿市の本トカゲについて論文を1編発表し3年間の研究成果をまとめた科研費報告書を作成した.
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Research Products
(5 results)