2010 Fiscal Year Annual Research Report
生化学試験用投げ込み型1チップ温度計開発とその応用
Project/Area Number |
21510126
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村上 裕二 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任准教授 (70272995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 智弘 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任准教授 (20457295)
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Keywords | 温度計 / センサLSI / マスクレス露光 |
Research Abstract |
生化学試験は通常1mLに満たない容量で実施され、コンタミや蒸発防止のため使い捨て容器でフタがついている。生化学反応は正確な温度制御が求められるが、通常の温度計を持ち込むことができない。市販の熱電対などはそれ自身の比熱が大きい。マイクロバイオデバイスの温度計測では、同様に外部の大量な熱媒体温度を測定する方法、微細加工技術で専用の温度計を開発してしまう手法、近接する位置まで穴を掘るなどして熱電対を配置する方法、蛍光色素などの温度感受性試薬を系中に導入して光学的に計測するもの、があるが、直接計測する温度計はない。そこで、1.5mLエッペンドルフ型サンプルチューブ内で利用できるように温度計機能のワイヤレス化に限定した簡素な小型LSIチップ製作を試みている。 生化学実験に用いる投げ込み型温度計として、対象とする温度範囲を0℃~100℃と設定した。この要求を満たすため、温度センサとして半導体のPN接合の順方向電圧降下の温度変化を計測するものとし、二組のダイオードアレイから得られる信号を差動増幅する構造とした。 また、この範囲での要求分解能を0.1度とした。これに対応するため分解の10bitの逐次比較型アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を用いることとした。 さらに、測定データを記録、保持しワイアレスで回収を行うために、120kbitのSRAMと無線送信部を設計し、上記一連の回路とともに集積化、180nmのCMOSプロセスを用いて2.5mm角のチップを試作した。温度センサ、ADコンバータ、無線部の動作確認を行った。 一方微細鋳型を用いた電気メッキによる外部アンテナ製作のため、鋳型製作条件の詳細検討を進めるとともに、論文執筆に向けた資料整理を行った。
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