2009 Fiscal Year Annual Research Report
代案としての国際運動-両大戦間期マケドニア運動再考
Project/Area Number |
21510266
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
大庭 千恵子 Hiroshima City University, 国際学部, 教授 (10256026)
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Keywords | 国民国家体系 / マケドニア問題 / 両大戦間期 / マイノリティ問題 / 国際社会主義運動 / 自決権 / ブルガリア |
Research Abstract |
平成21年度は、マケドニア共和国での資料調査を行った。成果は以下の2点である。 (1) スコピエ歴史研究所での調査 本研究課題における重要な研究対象として、マケドニア運動の活動家かつ国家形成初期の代表的政治家ディミタル・ヴラホフ(1878-1953)を設定しているが、彼の生涯および業績に関する包括的な研究は現地においてもいまだ存在しない。ただ、2003年にスコピエ歴史研究所が開催した没後50周年シンポジウム「ディミタル・ヴラホフ-その生涯と活動」が、複数の研究者による個別の見解をかろうじて集大成する場であったが、これに関しての資料は公開・公刊されていないのが現状である。 今回の調査では、研究史整理においても不可欠なトピックとなる上記シンポジウムに提出された未刊行論文を、同研究所のトドル・チェプレガノフ所長のご協力により、収集した。同時に、論文著者を含む複数の研究員と懇談し、本研究課題に関する知見を深めた。 (2) 国立マケドニア公文書館での調査 マケドニア共和国では、第二次世界大戦期の反ファシズム解放運動から戦後直後にかけての国家形成期にあたる時期での政治的に重要と思われる文書の公刊は精力的になされている。しかしながら、ディミタル・ヴラホフ関連の資料としては、1952年に執筆された回顧録が1972年に公刊された以外は、大半は未公刊のままである。今回の国立マケドニア公文書館での調査では、この未公刊のディミタル・ヴラホフ関連の資料のうち5箱分を閲覧し、資料分析をした上で必要文書の複写を行った。
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