2011 Fiscal Year Annual Research Report
インド商業集団(マールワーリー)の研究、グローバル経済と地域社会の結節点として
Project/Area Number |
21510279
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中谷 純江 鹿児島大学, 国際戦略本部, 准教授 (30530034)
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Keywords | 移動商人 / ラージャスターン / 故郷 / 表象 |
Research Abstract |
本研究では、インドを代表する産業資本家として知られる「マールワーリー」に焦点をあてて、南アジア地域社会を捉えなおした。これまでのマールワーリーについての研究は、彼らの経済的成功の理由、経済組織の特徴について論じるものが多く、地域社会の歴史的コンテキストに位置づけて彼らを理解する視点が欠けてきた。本研究はマールワーリーの出身社会(ラージャスターンの商業町)に焦点をあてて、移住商人の集団マールワーリーのアイデンティティや表象について明らかにした。 具体的成果として、研究代表者の中谷は、マールワーリーの故郷の商業町の1つ、チュールーを事例に、(1)地域社会における商人と支配者の関係、(2)商人と地域社会との関係、(3)商人コミュニティ内部の社会関係について調査をおこない、マールワーリーにとっての故郷の役割や意味、それらの歴史的変容について明らかにした。また、本研究には研究協力者として小松久恵(北海道大学)と豊山亜季(大阪大学)が参与し、異なるディシプリンを用いて本研究に大きく貢献した。小松はヒンディー語の雑誌研究に基づき、移住先の人々(北インドのエリート)の目にマールワーリーがどのように映ったのか、マールワーリーの表象は、彼らの故郷(ラージャスターン地域社会)の表象とどのようにオーバラップしていたのかという点を明らかにした。一方、豊山はマールワーリーが故郷に建設した館、ハヴェーリーに描かれた壁画のモチーフやデザインの分析から、商人たちが地域社会に対して自らをどのように表象しようとしたのかという問題と、壁画に対する評価が時代において大きく変化していく点について明らかにした。三者の研究成果は、日本南アジア学会及びイギリス南アジア学会でパネル発表をおこなうとともに、各自が論文にまとめあげて学会誌へ投稿した。
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Research Products
(3 results)