2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国の計画生育政策とリプロダクティブ・ヘルス/ライツの研究
Project/Area Number |
21510292
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小浜 正子 Nihon University, 文理学部, 教授 (10304560)
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Keywords | 中国 / 「一人っ子政策」 / リプロダクティブ・ヘルス / ライツ / 農村 / 母子保健 / バース・コントロール |
Research Abstract |
この研究は中国の計画生育政策(いわゆる「一人っ子政策」)が、生育の主体である女性たちにとってどのような意味を持ったかを、彼女たちのリプロダクティブ・ヘルス/ライツの実現という視点から、文献研究とフィールド調査によって明らかにしようとするものである。 研究代表者は、これまでの研究において、中国の中でも母子保健の条件がもっとも整えられ、バース・コントロールが全国に先駆けて1950~60年代に普及した大都市の上海と、バース・コントロールが1970年代に普及した中国東北地方の都市近郊農村について調査・研究を行ってきた。本研究は、上海とも都市近郊農村とも異なる中国内陸部の農村における出産とバース・コントロールの変化を、現地調査を行って明らかにし、それをふまえて、地域による偏差の大きい中国において計画生育政策の展開が女性にとってどのような意味を持ったかを、総合的に考察せんとするものである。 今年度は、華中内陸部の農村において、予備調査を行った。その結果、この村では、上海とも、上の都市近郊農村とも異なった近代医療による母子保健の普及と計画生育政策の展開の過程が見られることがわかった。この地域では、伝統医療による出産介助と近代医療によるそれとがかなりの期間併存しており、そうした中で近代的なバース・コントロールの導入が試みられたようである。今後の調査・研究によって、この地域の女性たちの対応を、さらに明らかにしてゆきたい。
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