2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520211
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十重田 裕一 Waseda University, 文学学術院, 教授 (40237053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 和重 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90157727)
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Keywords | 日本文学 |
Research Abstract |
本年度は、文学とメディアとの相関性に焦点を絞り、占領下における雑誌および出版社・編集者の視点を導入して、占領期検閲の新たな側面を明らかにすることを中心課題とした。特に、作家・作品に限定するのではなく、雑誌というメディア・編集者・出版社と文学との相互関連性という視点から、新たに資料を収集調査し分析を行なうことを試みた。その研究成果としてはまず、2009年11月から刊行開始された『占領期雑誌資料大系文学編』全5巻(岩波書店)を挙げることができる。この成果は、雑誌という場の重要性と、占領期検閲下の文学状況を再検討するための多くの契機を世間に広く提示した点で非常に意義深いものとなった。現在も資料収集を進めており、継続してこの分析調査の成果が見込まれる。さらなる研究成果としては、2010年3月22日にアメリカ合衆国・コロンビア大学において占領期検閲とメディアに関する講演を行なった。これまでに収集したプランゲ文庫所蔵の資料を用いて、活発な意見交換の場となった。また、2010年3月24日には、アメリカ合衆国・プリンストン大学において開催された、日本文学と戦後批評に関するシンポジウムのなかで、占領期における批評の問題について、「「占領」という規制--戦後文学再検討の視座」というタイトルの基調講演をし、その後、当該研究にかかわる議論を行った。さらに、昨年2009年3月6,7日の2日間にわたってアメリカ合衆国コロンビア大学において開催された、占領期を中心とする日本文学と検閲に関するシンポジウム("Censorship, Media, And Literary Expression in Occupation-Period Magazines : On the Kamakura Bunko Magazines")の研究成果を、論文集として刊行する準備も検討中である。
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Research Products
(3 results)