2011 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期リベラル文化の再検討-冷戦言説が隠蔽するイデオロギーと文化言説
Project/Area Number |
21520242
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
越智 博美 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90251727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 玲一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (70262920)
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Keywords | 冷戦 / 文化言説 / アメリカ文学 / 文学批評 / リベラリズム / ネオリベラリズム / 1930年代文学 / 民主主義 |
Research Abstract |
本プロジェクトの最終年として、計画通りに研究を進めた。 越智は、予定どおり、Richard Weaverに言及しつつ、この2年間に得たAllen Tateの言論をめぐる知見についての考察をまとめ、農本主義と冷戦リベラリズムの接続について、「アメリカの白いヨーロッパ」を紀要に発表した。その後、本課題の成果を中心に単著『モダニズムの南部的瞬間』を刊行した。また、この間の歴史的なアプローチによる研究の方法論について、日本アメリカ文学会50周年記念にあたる全国大会で本部発題のワークショップに登壇し、情報を共有すべく話をする機会をいただいた。 三浦は、冷戦リベラリズムについての招待講演を筑波大学アメリカ文学会で行った。これは、冷戦リベラリズムがリベラリズムを脱イデオロギーとして定義するときに、それは文化面にどのように反映されるかを考察したものであり、本プロエジェクトで得られた知見をまとめたものでもある。また、本プロジェクトの最終局面として、冷戦リベラリズムとその文化が現代にどのような影響を及ぼしているのかを映画を使いながら考察した。その成果は、日本英文学会第88会大会のシンポジウムで発表された。 また、当初の予定にはなかったのだが、名古屋大学と連携して1930年代文化について造詣の深い研究者を米国より招聘することができた。本プロジェクトは、冷戦期を考察する際に、冷戦期リベラリズムの萌芽期としてのニューディール期にも強い関心を寄せており、その意味ではプロジェクト最終年度に相応しいシンポジウムだったと言える。このシンポにおいて越智は冷戦期リベラル文化の系譜のひとつを描くべく、Robert Penn Warrenの30年代小説を、50年代リベラリズムの先駆的なものと位置づける発表を行なった。
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Research Products
(6 results)