2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 玲子 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30190292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若島 正 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10175060)
加藤 幹郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60185874)
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Keywords | 亡命知識人 / アメリカ知識人 / ウラジーミル・ナボコフ / 映画学 / 越境 / 戦後アメリカ / 冷戦 / 亡命作家 |
Research Abstract |
本研究は、1930年代に亡命者としてアメリカに渡ったヨーロッパ系知識人たらが、第二次世界大戦後にアメリカ社会・文化との葛藤、対話、交渉などを経て、独自の学問研究および創作活動を行っていく過程を検証するものである。国家、言語、文化、学問領域の越境と相互浸透の過程のすかで異種混淆的で斬新なスタイルが生み出されていく経過とその背景を我々は、思想、文学、大衆文学という三つの側面から分析した。 研究代表者の前川は、ロックフェラー文書館に保存された資料を手掛かりに、1950年代の冷戦の時代にロックフェラー財団の援助を受けた三つのプロジェクトへの亡命知識人の参加とその政治的背景を追うと共に、新たな学際的研究の可能性を分析した。ニコラス・ナボコフやマイケル・ポランニーなどの参加した文化的自由会議の活動、経済学者ゲールハート・コルムを中心とした競争的共存の経済学研究、フランツ・ノイマン、ハンナ・アーレントなどの学際的研究を支援した法・政治哲学プログラムなどを扱った英文リポートは、ロックフェラー文書館のウェッブ・サイトhttp://www.rockarch.org/publications/resrep/rronlinealpha.phpに公開される。文学の分野では、分担研究者の若島が、ウラジーミル・ナボコフの未完長篇The Original of Lauraを論じた2篇の論文を発表した。そのうら、「彼方の青空」の英語版"A Blue Sky Beyond"はフランスの文芸誌Revue dex deux mondesで仏訳出版される予定である。また、2010年3月に京都で開催された国際ナボコフ学会ではLolitaを論じる研究発表を行った。さらに大衆文化の分野では、分担研究者の加藤が文化の越境の問題を映像文化の分析を通して詳細に分析した『アニメーションの映画学』を上梓すると共に、古典的ハリウッド映画の1920年代の日本映画に対する影響(カメラワーク、編集、物語構成等)のリサーチを通して、文化的越境、相互浸透に関する理論的かつ実証的枠組み研究を行った。
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Research Products
(6 results)