2010 Fiscal Year Annual Research Report
女性作家と性的言説による長い十八世紀の公/親密/私的空間の変容に関する学際的研究
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21520267
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
梶 理和子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (60299790)
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Keywords | ジェンダー / 公共圏 / 女性作家 / 女性読者 / 出版文化 / 情報ネットワーク / 匿名性 / 性的言説 |
Research Abstract |
「長い十八世紀」における女性作家と性的言説の関係、そして性的言説と絡んだ公共圏/親密圏/私的空間の生成変化の過程を、文学的・歴史的・文化的(コン)テクストから考察するために、1.女性作家による性的言説のテクスト分析、2.公共圏、親密圏、私的空間の関係性に関する、国内外の一次資料の収集、3.理論的位置づけ、といった前年度におこなった作業を踏まえて、本年度は、一次資料の収集を続け、分類・整理する一方で、以下の考察、検証をおこなった。 4.女性作家と公私空間の関係性の検証 研究計画3の理論的成果に基づいて、1の女性作家/読者と性的言説が、2のグローバルな状況の中で、私的空間から公的空間までの諸空間をどのように変えたのかを具体的に分析した。その際、性的言説がどのように利用、抹消されたかを、以下の二点から考察した。 (1)作者の側から、他の作家や読者をどのように意識し、どのような共犯関係を結び、どのような対立、影響関係を形成していたのか。 (2)性的言説の流通を許容/規制した当時のマーケットの状況、すなわち受け手の側の受容の戦略とはどのようなものか。 5.新たな女性作家研究の視座の提示 研究計画3での理論研究に基づいて、具体的な4のテクスト研究と平行し、女性作家研究の見直しをはかることによって、中間総括として、性的言説をめぐる異種混淆的な力関係の一端を明らかにした。そこで、演劇から小説へと流行の主流が変わるとされる、従来の文学史に対して異なる解釈の可能性を探った。
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Research Products
(1 results)