2011 Fiscal Year Annual Research Report
英日女性児童文学における「投稿」と「葛藤」の系譜の研究
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21520303
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
高橋 美帆 天理大学, 国際学部, 准教授 (70342532)
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Keywords | 英米文学 / 比較文学 / 女性史 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、英国ヴィクトリア朝児童文学が日本の児童文学の成立と発展に与えた影響を、とりわけ女性作家たちの置かれた文学的・社会的情況に焦点を当てつつ、比較文学・文化的観点から明らかにするものである。本研究は4年を期間とするものであり、3年目である本年度は、初年度から収集した書籍や資料等の情報をもとに、英国女性児童文学作品の日本における受容史を明らかにし、英国と日本の児童文学がいかに成立し発展してきたのかを考察した。また、ヴィクトリア朝の児童向け雑誌に掲載された女性作家の作品群と、大正期の児童向け雑誌に掲載された女性作家による作品群を、比較文学・文化的に分析しようと試みた。そして、前年度までに国内外で収集してきた資料をまとめて、専門学会等で発表したり、意見交換をおこない、補充すべき点を検討・改善した。 同時に、女性が作家として生きていくためのアイデンティティの確立と葛藤という問題も取り上げ、本研究の主要テーマである「児童文学の成立と発展」に引き寄せて考察した。収集した雑誌等に掲載されている作品群を分析しながら、当時の女性作家の旺盛な執筆活動の背後にある社会的背景を今一度洗い直し、その文学的・文化的傾向を新たに読み取ろうと試みた。そのうえで、英国と日本の児童文学雑誌に見られる女性作家たちの文学的・文化的傾向を比較し、こうした自作の雑誌投稿を繰り返す行為が「アイデンティティの確立」と直結している主な例として、ヴィクトリア朝英国の代表的な女性児童文学作家と日本の大正期の女性児童文学作家に焦点を絞って検討を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から国内外で書籍や資料等を収集し、研究テーマに沿って分類し、分析してきた。そうした資料をまとめて専門学会等で発表したり、意見交換をおこない、研究目的を達成するために補充すべき点を検討・改善してきた。まだ入手できていない資料もあるが、おおむね計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度より収集した書籍や資料等の情報をもとに、英国女性児童文学作品の日本における受容史を明らかにし、暫定的に作成してきた年表とアンソロジーをまとめる。専門学会等で発表・意見交換をおこない、補充すべき点があれば随時検討・改善する。ただし、本研究を計画していた時点(2008年)で出版の予定されていたWomen and Blief,1832-1928が未だに発刊されていない。本研究の新しい視点として「女性児童文学と信仰」を広く取り入れたかったが、各作家の宗教的背景からまとめていくことで対応したい。
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