2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520311
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
相澤 直樹 Yamagata University, 人文学部, 教授 (40212344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 宏慈 山形大学, 人文学部, 教授 (10167934)
中村 隆 山形大学, 人文学部, 教授 (00207888)
中村 唯史 山形大学, 人文学部, 准教授 (20250962)
渡辺 将尚 山形大学, 人文学部, 准教授 (90332056)
齋藤 哲也 山形大学, 人文学部, 講師 (10507619)
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Keywords | 声 / テキスト / 近代ヨーロッパ / 朗読 / 蓄音機 / 自動記述 / ロシア・フォルマリスト / ラジオ・ドラマ |
Research Abstract |
本研究の参加者たちは、平成21年度中に2回の研究会を行った。1回目は参加者がそれぞれの研究の進捗状況を報告し、質疑応答を通してヨーロッパ各地域の差異と交流の諸相を浮かび上がらせ、本研究の中での各自の位置と役割を確かめる場とした。特にドイツ出張から帰ったばかりの渡辺将尚の報告は、戦後ドイツのラジオ・ドラマをめぐる、現地で収集した新しい資料に基づく知見に満ちていた。2回目は日本フランス語フランス文学会東北支部とのタイアップで、同支部の大会におけるワークショップ<声とテキスト>において本研究の参加者たちが発表を行った。特に、ロシア・フォルマリスト達の論考の中でテキストと「声」「身体」との関係がどのようにイメージされていたのかを研究する中村唯史は、かつては「音声中心主義」の批判を受けたロシア・フォルマリズムが、実は決して単純な「音声中心主義」ではなかったことを論証し、一方齊藤哲也は、「声」の書き取りとしてのシュルレアリスムの「オートマティスム」の問題が、ロマンティックな内的な声の書き取りという問題系に連なるかに見えて、実はある種の伝言ゲームのように齟齬や異稿を生産する問題機制として働くという理論的な転換を示した。その他、19世紀末から20世紀初頭における音声メディア(電話、蓄音機、テアトロフォン)の発達と文学的なテキストの相互的な影響関係を研究中の阿部宏慈は、プルーストにおける「再読」のシステムと内在的な<声>としての「述べられたこと」の問題を扱った論文を発表した。プロアマ混合の演劇集団の主宰者と、公開朗読の場における自作品の「朗読者」という両面からチャールズ・ディケンズを分析する中村隆は、文献収集・整理を進めた。19世紀ロシア文学における朗読、講演・演説を研究する相澤直樹は、作家・編集者であったИ.И.パナーエフを中心に文献収集・整理を進めるとともに、研究会の取りまとめ等を行った。
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Research Products
(6 results)