2009 Fiscal Year Annual Research Report
脱領域的観点に依拠した「越境文学」としてのアンデルセン研究
Project/Area Number |
21520326
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田辺 欧 Osaka University, 世界言語研究センター, 准教授 (60243276)
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Keywords | 越境 / 北欧児童文学 / ドイツ・ロマン主義 / 比較文学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アンデルセン文学の中において“移動"、“越境"、“旅"をテーマにしたテクストを選別し、それらのテクストが文学以外め芸術領域と交錯するなかで創造され、流動的なマルチ芸術性を内包していること、さらにそれが19世紀ロマン主義芸術と現代芸術とのインターフェースとなっていることを検証することである。 本年度は研究初年度として、分析の対象となるテクストの選別作業、既存の文献整理、新たな文献・資料収集など、研究の基盤作りに重点を置いた。本研究は旧来のアンデルセン研究(童話と伝記研究)とは観点を大きく違え、これまであまり研究がなされていないマイナーなジャンルに焦点を当てていること、また他の芸術分野との関連を探る観点を重視するため、分析テクストの選定作業、関連文献および資料の整理、収集作業が研究の根幹をなし、意義をもつものと考える。今年度報告すべき研究実績は以下の5点に集約される。 1. 「時空間の移動」、「文化の越境」をテーマとしているテクストの選出作業を行い、および個々の作品の関係性を整理。 2.本研究に必要とされる原典資料・関連文献の収集および調査をデンマークにおいて実施(コペンハーゲン大学およびデンマーク王立図書館:平成21年8月27日より9月5日 3.アンデルセンと音楽との関係、とりわけドイツ・ロマン主義作曲家(シューマンとメンデルスゾーン)との関係について現地調査(ベルリシ、ライプチッヒにおける関連博物館:平成22年3月1日より4日) 4.フィンランド・スウェーデン文学協会においてアンデルセンと現代北欧児童文学作家との関連について調査(平成22年3月5日より7日) 5.日本比較文学会において、「越境文学としてのアンデルセン研究」と題し、新観点におけるアンデルセン研究の可能性と意義について発表(平成21年4月11日)
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