2010 Fiscal Year Annual Research Report
脱領域的観点に依拠した「越境文学」としてのアンデルセン研究
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21520326
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田辺 欧 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (60243276)
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Keywords | 越境文学 / 移動文学 / 北欧文学 / アンデルセン / 旅 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アンデルセン文学の中において"移動"、"越境"、"旅"をテーマにしたテクストを選別し、それらのテクストが文学以外の芸術領域と交錯するなかで創造され、流動的なマルチ芸術性を内包していること、さらにそれが19世紀ロマン主義芸術と現代芸術とのインターフェースとなっていることを検証することである。 本年度は第2年度に予定していた研究を遂行した。初年度に引き続き、既存の文献整理、新たな文献・資料収集などを推進した。まず、初年度最後に行った「アンデルセンと音楽の関係」に関する調査で入手した資料(アンデルセンとドイツ・ロマン主義作曲家たち)の整理を行い、それらの調査を裏付けし、同時に補強するためのさらなる資料の収集に努めた。また2011年秋に現代作曲家と戯曲化によるアンデルセンのオペラが企画されているが、その企画者と連絡を取り合い、情報の交換をしつつ、協同作業に着手した。本研究は旧来のアンデルセン研究(童話と伝記研究)とは観点を大きく違え、これまであまり研究がなされていないマイナーなジャンルに焦点を当てていること、また他の芸術分野との関連を探ることに意義と重要性を見出すことを目的としており、成果はそれに見合ったものを提示できたと考える。以下は報告すべき研究実績である。 1. 「移動文学」に関する研究書の書評論文を学会誌に発表 2. アンデルセンと音楽との関係)で入手した資料の整理とシューマンに関する予備資料の収集 3. 上記の研究を研究ノートとして世界言語研究センター内・デンマーク語/スウェーデン語研究室の紀要に発表
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