2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520340
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
香田 芳樹 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20286917)
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Keywords | ハビトゥス / マイスター・エックハルト / 宗教文学 / 和辻哲郎 |
Research Abstract |
平成23度は特にハビトゥスが中世においてどのような歴史的展開をみせ、都市を中心とする宗教文学に影響を与えたのかを究明した。それによってキリスト教が言語的に習慣化される過程と道徳形成(いわゆる文明化)が平行関係にあることと、またそれと異端思想との確執が明らかになった。また、「感情・感性」がハビトゥス形成の中で大きな役割を果たすことにも注目し、研究発表を行った。最終年度に当たり、本邦における西欧思想受容にも目を向け、生活世界の「空間」が人間形成に与える影響も考察した。本年度に実施した研究の成果は以下の通りである。1)国際エックハルト学会(平成23年4月15-17日、エルフルト)を役員として企画し、"Reflexionen uber die Reden der Unterscheidung Meister Eckharts und die Stadtgeschichte von Erfurt,'という論題で研究発表を行い、中世都市における宗教教育の意義を論じた。2)コロキウム「中世の感情」(平成24年1月29日、慶應義塾大学)において、"Wutende Frauen-weinende Manner. Zur Inszenierung der negativen Gefuhle in der mittelalterlichen mystischen Literatur"という論題で研究発表おこない、感情の人間学における意味を論じた。3)論文「美徳の装い-ドイツ中世の教育文学におけるイメージとハビトゥス-」を執筆し、中世ヨーロッパにおける修養文学における習慣の位置づけについて論じた。4)論文「真理を語る真理-マイスター・エックハレトの神秘的聖書解釈」(『イスラーム哲学とキリスト教中世』所収、岩波書店)を執筆し、ヨーロッパ中世の聖書解釈の特質を論じた。5)論文"Japanese Philosopher Tetsuro Watsuji.His Cultural Anthropology and His Buddhist,Thinking"を執筆し、哲学者和辻哲郎の西欧批判と仏教的人間観について論じた。6)論文"Koln-Toulouse-Avignon.Die Verurteilung Meister Eckharts im Kontext der thomistischen Tradition in Sudfrahkreich"(平成24年7月発行予定、印刷中)を執筆し、南フランスの宗教事情と異端審問の関連について論じた。
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Research Products
(5 results)