2009 Fiscal Year Annual Research Report
デカルトにおける説得と論証およびその人文主義的起源に関する研究
Project/Area Number |
21520358
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Research Institution | Eichi University |
Principal Investigator |
武田 裕紀 Eichi University, 人間文化共生学部, 准教授 (50351721)
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Keywords | デカルト / 光学 / モラン / 論証 / 定義 |
Research Abstract |
デカルトとモランとの往復書簡を通して、デカルトにおける説得と論証の特質について検討した。『方法序説と三試論』の公刊を受けてモランから提出された反論に応接することによって、この書簡には、著作におけるアプリオリな記述では表に現れないようなさまざまな論点をが露呈することになった。つまり、モランのスコラ的な反論に回答することを通して、伝統的なスコラの光学理論に対するデカルトの見解が明確に現れているのである。それらの中から本研究では、光の定義と論証の問題に焦点を絞って検討した。 それによると、まず第一に、アヴィケンナに由来するlux(光源)とlumen(光線)という概念的区別は排除し、lumenの特性を機械論的に説明することで、近代的な議論の枠組みを設定する。第二に、定義に関しては、デカルトは定義を「事物の定義」と捉えたうえで、光を定義することをあえて避けて、いくつかの「比較」を通して、その特徴を「描写」することを選ぶ。こうしたデカルトの態度は、『精神指導の規則』の第8から第10規則で披露される方法に対応している。われわれはこの箇所でデカルトが、数学的論証方法だけでなく、技術者にも要求されるようなある種の「慣れ」を求めていることもあわせて指摘した。 今年度は、デカルト哲学の内部における整合的理解という観点からは、成果を上げることができたが、しかしその歴史的背景は、次年度以降の研究にゆだねられる。とくに探求すべきテーマは、アリストテレスのオルガノンおよびラフレーシュ時代に触れたと思われるその注釈書との関係、またルネサンス期学問論における「比較」の役割どである。なお以上の成果は3月9日に公開の科研費研究会によって公表された
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Research Products
(2 results)