2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルゼンチンにおける日本の詩歌の受容と価値観の変化についての研究
Project/Area Number |
21520386
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井尻 香代子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (70232353)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 榮一 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 名誉教授 (80073344)
|
Keywords | 比較文学 / スペイン語ハイク / 俳諧 / 国際情報交換 / スペイン:アルゼンチン |
Research Abstract |
平成23年度に実施した研究の成果 1.具体的内容 スペイン、マドリードにおける調査:スペインにおけるスペイン語ハイク制作状況と関連文献出版事情についてイペリオン出版社等でのインタビューおよびスペイン国立図書館における文献資料探索を行なった結果、今年度出版の最新資料を含む多数の図書および書誌データを入手した。また、スペイン・ハイクとアルゼンチン・ハイクとの交流についての情報も得ることができた。 アルゼンチン、ブエノスアイレスにおける調査:在亜日本領事館付属文化センター、東西学院を中心に日本の詩歌受容の最新事情についての情報を収集した。昨年度から今年度にかけてのアルゼンチン建国200周年を記念して開催された、日本との文化交流に焦点を絞った講演会、展示会、パネルディスカッション等の内容に関する諸資料や新たな出版物を得ることができた。また、ハイクを制作している詩人たちに、あらかじめリストアップしたハイク作品の朗読を依頼し、10名分の録音資料を持ち帰ることができた。現在、この資料をベースとしてアルゼンチン・ハイクの音声的特徴を分析中である。 2.意義 (1)19世紀、20世紀におけるスペイン語詩に影響を及ぼした様々な文学運動と日本の俳譜導入との関連が明らかになり、その結果、現在制作されているスペイン語ハイクがスペイン語現代詩において占める位置づけの解明を進めることができた。 (2)アルゼンチン・ハイクにおける有季・無季のトピックの用法についての分析結果から、正岡子規以降の近代俳句ではなく、江戸期の俳譜との直接的な影響関係が明確になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの研究成果として、 (1)アルゼンチンにおける日本の俳句の受容プロセス(日本人移民経由およびヨーロッパの文学運動経由) (2)アルゼンチンのスペイン語ハイク制作および受容状況 (3)スペイン語ハイク作品における有季・無季のトピックの用法についての分析と俳譜との影響関係 について、ほぼ解明することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後2年間の研究において、次の2点を計画している。 (1)アルゼンチン・ハイクの音声的特徴を明らかにし、日本の俳句の音声面における影響を探る (2)アルゼンチン・ハイク制作・受容とその普及によってもたらされた価値観の変化を調査する また5年間のまとめとしては、幅広い地域、年齢、社会階層に広がるスペイン語ハイク制作の全容解明をとおして、現代アルゼンチン文化の特性を好情詩の分野から明らかにすることを最終目的としている。
|
Research Products
(2 results)