2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520407
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
和田 学 山口大学, 人文学部, 准教授 (10284233)
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Keywords | 韓国語 / 日本語 / 受動 / 複合動詞 / 語彙的緊密性 |
Research Abstract |
本研究の主たる研究対象は韓国語及び日本語の受動構文であるが、この構文の特性を明らかにするためには、関連する様々な構文の特性を明らかにすることが必要となる。平成23年度は、主に、韓国語と日本語の様々な複合動詞構文について研究した。 平成23年度の研究成果は以下の通りである。 1.韓国語の語彙的複合動詞が語彙部門で形成されるとする説と統語部門で形成されるとする説があるが、前者が正しいことを示した。 2.語彙的複合動詞は語彙部門で形成されるにも拘わらず、その構成要素が限定的ながら統語的に独立していることを示す現象(とりたて詞の挿入、第2要素のみの反復)が見られ、形態的緊密性を見直す必要があることを示した。 3.第1要素が連用形を取る日本語の大部分の複合動詞とは上記の特徴において異なることを示した。 4.これまで例外的として等閑視されて来た、第1要素がテ形をとる複合動詞が、意味的固有性や生産性の低さから、語彙部門で形成されると考えられ、これらが、韓国語の複合動詞と同様に限定的ながら語彙的緊密性を破ることを示した。 5,韓国語の複合動詞と日本語のテ形複合動詞の第一要素の活用形が、共に動詞としか共起しない、複合名詞形成に参加しないという特徴を共有し、日本語の連用形とは異なっていることを示した。これらの観察に基づき、動詞とのみ共起できる形態が複合動詞の第一要素に現れる場合には、統語的に許される構造であるため、形態的に一語化する必要がなく、結果として構成素が統語的な独立性を示すと主張した。
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Research Products
(4 results)