2009 Fiscal Year Annual Research Report
母語と非母語の音の音響的実測地と知覚上の距離:3言語の母語話者の相互比較
Project/Area Number |
21520420
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野澤 健 Ritsumeikan University, 経済学部, 教授 (30198593)
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Keywords | 英語母語話者 / 韓国語母語話者 / 日本語母語話者 / 知覚上の差異 / 音響実測値 / 知覚実験 / 音節末子音 / 先行母音 |
Research Abstract |
3年間の研究課題の初年度にあたる平成21年度は、研究計画の立案、実験準備、実験の実施とそのデータ分析を行い、平成21年度中に学会発表等は行っていない。 まず、アメリカ英語、韓国語、日本語の母語話者各4名の発話を日本とアメリカにおいて収集し、知覚実験で使用する音声刺激を作成した。 本研究課題の目的は、音響分析において測定可能な数値と実際に知覚される音声的な差異の大小を異なる言語の母語話者の間で比較することであるが、実験の対象を、1)音節末の鼻音と閉鎖音、2)母音、3)子音に絞って実験を行うこととした。実験は、日本とアメリカで行うため、実験に先立ち2箇所で同じ手順で実験が行われることを確認するため、海外共同研究者の下に渡り、打ち合わせを行った。3言語の母語話者がそれぞれ10数名被験者として実験に参加した。 音節末の鼻音と閉鎖音は、同定実験を行い、母音と子音は異なる言語の音を1回の試行で提示し、その音の間の差異を判定する形をとった。平成21年度中に学会発表に至らなかったが、音節末の鼻音と閉鎖音に関しては、平成22年4月に開催されるAcoustical Society of Americaの第159回大会で発表することとなった。 音節末の鼻音と閉鎖音の間に音素対立のある英語と韓国語の母語話者の方がそれぞれの母語のみならず他の言語の鼻音と閉鎖音の同定実験においても日本語の母語話者よりも高い正答率を示したが、必ずしも母語の音の正答率の方が高いという傾向は見られなかった。先行する母音の影響も見られ、一般に高母音の後では正答率は低く、低母音の後の方が正答率は高い傾向が見られた。
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