2011 Fiscal Year Annual Research Report
名詞判断文を中心とした構文類型の分布調査と認知構造の解析
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21520452
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
王 亜新 東洋大学, 社会学部, 教授 (30287552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 学群 東洋大学, 経営学部, 教授 (40447222)
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Keywords | 構文類型の使用分布 / 名詞判断文の構造と機能 / 中国語の"是"構文 / 判断文における名詞句の意味と機能 / "是"構文における"一个"の機能 / 名詞述語文における時間構造 / 日中対照研究 |
Research Abstract |
1.研究代表者王亜新は、平成21~22年度の研究に引き続き、日本語と中国語の文献(小説など)から約100万字規模のデータを抽出して名詞判断文を中心とした構文形態の使用状況について数値的統計を行った。本統計は、日本語と中国語の文献から単文を抽出して、述語句を名詞・形容詞・動詞別に統計を行い、構文形態別の使用割合を明らかにした。述語のほかに、日本語の「名詞系成分+だ」という文末形態と、中国語の非述語成分である"是"の使用率に関する統計も行った。本統計を通じて、日本語と中国語における名詞判断文の使用状況を明らかにし、日本語の名詞判断文という構文形態と「名詞系成分+だ」という文末形態の合計使用率が中国語より相対的に高いという現象を明らかにしている。 2.研究代表者王亜新は、中国語の"是"構文における「是(一)个NP」構造を、数量詞"一个"と名詞句NPの意味機能および"是"構文の機能から分析し、その意味と機能上の特徴およびその機能が形成されるメカニズムを明らかにした。"(一)个NP"の機能は、基本的に数量詞本来の計数機能に起因し、物事の物的形態の一つとして物事の外的特徴を表す場合に付随される要素として使用が求められる傾向がある。また"是"構文による「属性叙述」における"(一)个NP"の機能も「事象叙述」における名詞の「実体指示」という外延的機能から、当該類のカテゴリー属性を持つ「典型的個体」という「内包的機能」への拡張によって生じたものであると指摘している。 3.研究分担者王学群は、日本語の名詞述語文と中国語の名詞述語文における時間性と属性について、日中対照研究の立場から分析を行った。本研究では、名詞述語文を運動・状態・存在・特性・関係・質などの意味関係に分けて考察し、名詞述語文における時間的な現れ方は意味関係によって異なり、運動や状態などの意味関係では時間との関わりが深く、特性や質などの意味では時間との関わりが少ないという傾向を明らかにした。また、特性の変化や質の抹消などの意味では時間に縛られる可能性があることを指摘している。さらに日本語と中国語では名詞述語文の時間構造が異なった側面が見られることを明らかにしている。
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Research Products
(6 results)