2010 Fiscal Year Annual Research Report
英語音声の聴解プロセスにおける日本語母語の干渉に関する研究
Project/Area Number |
21520496
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
犬塚 博彦 岩手大学, 教育学部, 教授 (90244962)
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Keywords | 英語 / 音声学 / 言語学 |
Research Abstract |
平成22年度は,日本語母語話者による英語音声の聴解プロセス研究の一環として,勤務校の岩手大学教育学部で担当した「英語音声学演習I」の履修学生を対象にして行なったリスニング実験(ディクテーション)の結果と,その後,履修学生たちに取り組んでもらった各自の聴解判断に関するレポート内容を分析することにより,聴解者内部で英語音声が構造化されていく過程で「線影性」と「プロミネンス」の二つがどのように影響しているのかについて調査した。これは前年度の研究において新たに浮かび上がってきた聴解における「認識の指向性」の問題を追究するために行なったものである。 個々の事例に即して質的観点から考察を加えた結果,平成22年度に行なった実験の範囲においては「線形性」と「プロミネンス」には相対的な順位があり,両者の間には有機胸な関連性が見られることが明らかになった。 具体的には,それぞれの音声群が語として認識されるまでの間は,聴解者内部において「線形性」と「プロミネンス」の二つの側面が解析の過程での優位性の点で互いに拮抗し,どちらが先に現象として現れるかはそれぞれの聴解者のその時の判断に依存するものであることが明らかとなった。その一方で,一たび語として認識されてからは,認識されたその語と後続要素との間には何らかの関係性があるものとして聴解者内部でとらえられ,その場合は「線形性」が聴解プロセスにおいては優先するということが明らかになった。
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Research Products
(2 results)